研究課題
研究代表者は本研究課題に関して、平成25年度に以下の研究成果を得た。1.初代培養上衣細胞(EPD)に数種類のshRNA発現レンチウイルスを感染させ、繊毛数の調節に関与すると予想される新規遺伝子を検索し、1つ同定した。この遺伝子のノックアウトマウスを作出するためのCRISPR/Cas9システムを構築した。2.脈絡叢上皮細胞(CPECs)における嗅覚受容体の解析をおこなった。同受容体を強制発現させると、IMCD3では細胞内に蓄積したが、CPECsでは繊毛に局在した。また様々な胎齢・週齢のマウス脈絡叢における嗅覚受容体発現レベルの変動を解析した。3.繊毛をライブイメージング解析するためのツールを構築した。繊毛と基底小体をそれぞれ異なる蛍光タンパク質でラベルするレンチウイルス発現系を作製し、IMCD3細胞およびCPECsを用いてその実用性を評価した。またこれらのウイルスをマウス受精卵に感染させることにより、トランスジェニックマウスも作出した。4.CPECsにおける非選択的カチオンチャネルTRPV4の機能解析をおこなった。幾つかの細胞を用いた先行研究ではTRPV4が繊毛に局在し、低浸透圧ストレスに伴うATP放出などに関与すると報告されているが、CPECsにおいてTRPV4は繊毛局在性を示さず、上述のストレス応答にも関与していなかった。我々は、CPECsにおけるTRPV4がカルシウムシグナルおよび細胞内分子のリン酸化を制御し、細胞接着結合を調節する非筋ミオシンの局在を変化させるなどして、経上皮的物質輸送の調節に関与していることを見出した。5.これまで繊毛の解析がほとんどおこなわれていない幾つかの細胞・組織において、繊毛の超微細形態を電子顕微鏡で解析した。また繊毛関連分子の細胞内局在を免疫電顕によって解析した。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
Nature Methods
巻: 10 ページ: 1105-1107
doi:10.1038/nmeth.2647
Cytoskeleton
巻: 70 ページ: 797-803
doi: 10.1002/cm.21132