研究概要 |
本研究では、Xenopusの創傷治癒メカニズムを参考にしながらマウス13.5日胚の皮膚における創傷治癒メカニズムを分子・細胞レベルで明らかにすることを目的とし、実際にはマウス13.5日胚の皮膚に母体内微小手術(exo utero マイクロサージャリー)によって人為的に創傷を形成させる手法を用いて、マウス胚の創傷治癒過程で起こるイベントを以下の項目について解析した。 1.Xenopus創傷治癒において真皮再生細胞特異的に発現するPrx1について、マウス13.5日胚 創傷治癒過程の真皮再生細胞でも発現が見られるか、さらには種間で保存されている四肢エンハンサーの活性化があるかどうかを確認する。 2.マウス13.5日胚の創傷治癒過程で見られる真皮再生細胞の由来・性質を明らかにする。 <研究成果1> マウス13.5日胚 創傷部位におけるPrx1 mRNA発現を確認した。一方で、Prx1四肢エンハンサー活性は創傷部位では見られなかった。続いて、瘢痕が出来るとされている発生ステージである14.5日胚, 15.5日胚, 16.5日胚、ならびに新生仔, 成体の皮膚創傷部位におけるPrx1 mRNA発現を確認したところ、当初予想していた結果とは異なり14.5日胚, 15.5日胚でもPrx1 mRNA発現が確認された(16.5日胚, 新生仔, 成体については未確認)。 <研究成果2> マウス13.5~15.5日胚 創傷部位におけるPrx1 mRNA発現陽性細胞がどの組織由来の細胞であるかについて調べるため、組織特異的マーカーの免疫染色を行った。その結果、真皮細胞が当該の細胞であることが明らかになった。Xenopus 創傷治癒においては創傷部位周囲の筋組織が分解した後に生ずる単核の細胞がPrx1 mRNAを発現することが知られているが、今回のマウスの結果はそれとは一致しないことが明らかになった。
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