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2012 年度 実施状況報告書

栄養・代謝状態による神経管閉鎖制御の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 24770207
研究機関京都大学

研究代表者

日下部 杜央  京都大学, 生命科学研究科, 助教 (80378843)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード発生・分化 / シグナル伝達
研究概要

脊椎動物の神経系は、最初は平板なシート状の組織(神経板)として形成される。その後、神経板上に左右相称に盛り上がった肥厚が正中線で融合し、管構造(神経管)へと変化する。この管形成過程は「神経管閉鎖」と呼ばれ、複雑な細胞形態変化と細胞移動を伴う。神経管閉鎖の異常(神経管閉鎖障害)は、先天性心疾患に次いで2番目に多いヒトの出生前発生異常であり、その予防は母子保健上もっとも重要な課題の一つである。母親が肥満・糖尿病の場合、胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高まることが知られているが、肥満・糖尿病ともにグルコース代謝の異常と深い関連があることから、栄養・代謝状態によって神経管閉鎖が制御されることが予想される。しかしながら、その分子機構は不明な点が多い。私は、栄養・代謝状態を感知するメタボリックセンサーAMPKがアフリカツメガエル初期胚において神経管閉鎖を制御する可能性を示唆する結果を得た。AMPKノックダウン胚の形態変化について詳細に解析したところ、AMPKは神経管の前部の閉鎖過程に重要であることがわかった。さらにリン酸化AMPK抗体によるウェスタンブロッティングを行ない、胚発生の進行にともなってリン酸化 AMPKの量が増加することを見出した。さらにAMPKのノックダウン胚において、細胞骨格関連タンパク質のリン酸化が減少することを見出し、AMPKが細胞骨格を制御することにより神経管閉鎖を制御する可能性を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

メタボリックセンサーであるAMPKが神経管の前方部の閉鎖過程に重要であることを示し、神経管の前方部の閉鎖が栄養・代謝状態によって制御される可能性を呈示する事ができた。また、AMPKが生体内で細胞骨格関連タンパク質のリン酸化に必須であることを示した。疫学的調査により、母親がメタボリックシンドロームの場合に胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高まることが知られているが、本研究の成果はその分子機構の一端を説明しうるものであり、当初の研究目的に合致し、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

母親が肥満・糖尿病の場合、胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高まることが知られている。肥満・糖尿病ともに糖代謝の異常と関連すること、低グルコースによってAMPK が活性化すること、そしてAMPKの活性化は肥満・糖尿病に拮抗することが知られているので、糖代謝の状態がAMPKによる神経管閉鎖制御に関連することが予想される。そこで解糖阻害剤の投与、あるいは解糖系の酵素群のアフリカツメガエルホモログのノックダウンを行ない、AMPKの活性の変化や、神経管閉鎖への影響を調べる。また、ビタミンの一種である葉酸はヒトの神経管閉鎖障害を予防する効果があることが知られているが、その作用機構は不明であるので、葉酸の代謝酵素群、葉酸受容体、葉酸トランスポータなどのアフリカツメガエルホモログをノックダウンして、神経管閉鎖への影響を詳細に調べる。そして、葉酸代謝経路の阻害による遺伝子発現の変化、代謝産物の変化をマイクロアレイやメタボロミクスにより網羅的に解析する。さらに、神経管閉鎖過程がおこる前後の時期の胚を経時的に回収して抽出液を調製し、質量分析を用いたメタボロミクス解析を行ない、神経管閉鎖過程における代謝物全体を包括的に同定する。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Identification and characterization of Xenopus kctd15, an FGF-repressed ectodermal gene2012

    • 著者名/発表者名
      Takahashi C, Suzuki T, Nishida E, Kusakabe M.
    • 学会等名
      JSDB-BSDB&BSCB Joint meeting of Developmental Biology
    • 発表場所
      University of Warwick, Coventry, UK
    • 年月日
      20120415-20120418

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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