ヒトの臓器は左右非対称な形態を示すがこれは繊毛運動が作り出す水流により決まる事が知られている。本研究ではこの繊毛の運動と構造の関係性を明らかにした。マウス胚ノード繊毛は時計回りに回転運動するが、これに微小管を安定化させるタキソールを処理すると方向が一定しない回転運動になる事が観察された。さらに電子線トモグラフィーによって繊毛内の微小管配置を解析した所、通常規則正しい微小管の配置がタキソール処理により乱れる事が観察された。実験データで得られた繊毛構造を元にコンピューターシミュレーションを行った所、微小管の規則正しい配置が一方向への安定な回転運動を行う上で必須である事が明らかとなった。
|