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2013 年度 実績報告書

二つの形成体因子ChordinとNogginの協調的な背腹軸パターンの安定化

研究課題

研究課題/領域番号 24770223
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

猪股 秀彦  独立行政法人理化学研究所, 発生・再生科学総合研究センター, チームリーダー (60372166)

キーワード濃度勾配 / 背腹軸形成 / 頑強性 / スケーリング / 再構築系
研究概要

脊椎動物の背腹軸は、オーガナイザーから分泌される二つの背側化因子Chordin、Nogginの濃度勾配に従って構築される。しかし、これらは同じBMP阻害活性を保持しており、何故二種類の分子が背腹軸形成に必要か明らかにされていない。本研究課題では、これら二つの分子が胚内で形成する空間分布に注目して研究を行った。濃度勾配の形状は主に産生・拡散・分解によって制御されている。発生過程においては、これら3つの要素が同時並行的に動的に変動していると考えられるが、定量的な解析を困難にしている。そこで、産生量が一定のChordinまたはNoggin勾配を人工的に胚内に形成し、背腹軸の再構成系を構築した。その結果、Chordin(急勾配)とNoggin(緩勾配)は胚内において異なる勾配形状を示す事が明らかとなった。このような、勾配形状の違いを示す可能性として拡散または分解の違いが考えられる。そこで、ChordinとNogginの拡散速度、分解速度を定量したところ、Chordinは拡散速度、分解速度が早く不安定であった。一方、Nogginは拡散速度、分解速度が遅く、非常に安定であった。このように、同じ活性を示す二つの分子が異なる空間分布を示すことにより、異なる制御機序に寄与している可能性が考えられる。ChordinにはChordin分解酵素が存在し、さらにこの分解酵素に直接結合し阻害するSizzledが知られている。そこで、背腹軸の再構築系を用いてSizzledを過剰発現し、Chordinの分解速度を遅くしたところNogginと同様の勾配形状を示した。これらの結果は、Nogginと異なり、Chordinは分解を介して動的に勾配形状を変動している可能性を示している。実際、このようなChordin勾配の即応性により、胚サイズ依存的にChordin勾配の形状が適切に構築される過程を明らかにした。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] サイズの発生学 ー濃度勾配のスケーリングー2014

    • 著者名/発表者名
      猪股秀彦、柴田達夫
    • 雑誌名

      生物物理

      巻: 54 ページ: 未定

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Scaling of Dorsal-Ventral Patterning by Embryo Size-Dependent Degradation of Spemann’s Organizer Signals2013

    • 著者名/発表者名
      Hidehiko Inomata, Tatsuo Shibata, Tomoko Haraguchi, Yoshiki Sasai
    • 雑誌名

      Cell

      巻: 153 ページ: 1296-1311

    • DOI

      10.1016/j.cell.2013.05.004

    • 査読あり
  • [学会発表] Scaling of Dorsal-Ventral Patterning by Embryo Size-Dependent Degradation of Spemann’s Organizer Signals2014

    • 著者名/発表者名
      猪股秀彦、柴田達夫、原口知子、笹井芳樹
    • 学会等名
      第46回日本発生生物学会
    • 発表場所
      くにびきメッセ(島根県松江市)
    • 年月日
      20140528-20140531
  • [学会発表] Scaling of Dorsal-Ventral Patterning by Embryo Size-Dependent Degradation of Chordin2013

    • 著者名/発表者名
      猪股秀彦、柴田達夫、笹井芳樹
    • 学会等名
      第51回日本生物物理学会
    • 発表場所
      京都国際会館
    • 年月日
      20131028-20131030
    • 招待講演
  • [備考] 動物の体を相似形にするメカニズムを発見

    • URL

      http://www.jst.go.jp/pr/announce/20130607/

  • [備考] 60秒でわかる? 発生を制御して動物の形づくりの謎を解く

    • URL

      https://www.youtube.com/watch?v=Kuj-mYLARNw

  • [備考] 発生を制御して動物の形づくりの謎を解く

    • URL

      http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/publications/news/2014/rn201401.pdf

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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