研究課題/領域番号 |
24770226
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宇野 好宣 名古屋大学, 生命農学研究科, 研究員 (60609717)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | FISH / 核型進化 / マイクロ染色体 / 脊椎動物 / 染色体地図 / 軟骨魚類 / 両生類 / 肉鰭類 |
研究概要 |
1.ネッタイツメガエルの染色体地図の作製 先行研究として進めてきたネッタイツメガエルの染色体地図情報について、FISHマッピング用として新たにニワトリのマイクロ染色体(9番から28番染色体)連鎖遺伝子を追加選択し、それらの遺伝子のネッタイツメガエルにおける染色体上の位置を決定したのち、得られた染色体地図と他の脊椎動物のゲノム・染色体地図との比較解析を行った。その結果、ネッタイツメガエルにおいて18対のニワトリマイクロ染色体(16、25番を除く9番から28番染色体)に相同な連鎖群を特定した。さらにそれぞれのニワトリマイクロ染色体連鎖群は、マイクロ染色体をもたないネッタイツメガエルでも高度に保存されていることから、多数のマイクロ染色体を有する爬虫類、鳥類のゲノム・染色体構造は、四肢動物の共通祖先ですでに獲得されていたことが示唆された。この研究成果はPLoS ONEに投稿し、平成24年12月に受理された。 2.軟骨魚類の染色体地図の作製 軟骨魚類のトラザメやドチザメの成体から採取した腎臓や心臓、血液を用いて軟骨魚類における細胞培養法の条件検討を行った。その結果、増殖の盛んな培養細胞を得ることが可能になり、得られた染色体標本を用いたギムザ染色を行うことで、この2種の軟骨魚類が先行研究の報告と同様に、多数のマイクロ染色体をもつことを確認した。 3.肉鰭類の染色体地図の作製 東京工業大学生命理工学研究科の岡田典弘教授の研究室で保存されている、シーラカンス凍結個体から鰭や臓器のサンプリングを行い、染色体標本作製のための細胞培養を試みた。しかしながら、増殖が見られる細胞は観察されず、染色体標本の作製には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
軟骨魚類における効率のよい染色体標本作製方法を確立できておらず、平成24年度に行う予定であったFISHマッピングによる機能遺伝子からなる染色体地図の作製をいまだ行うことができない状態である。しかしながら、すでに増殖効率のよい細胞の培養条件をすでに確立しているため、近いうちに効率のよい染色体標本作製法を確立し、今後は計画どおりに進展させることが可能であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度では、研究計画どおりに軟骨魚類と肉鰭類の染色体地図の作製を行い、得られた染色体地図において他の脊椎動物のゲノム・染色体地図との比較解析を行う。軟骨魚類に関しては、FISHマッピングよる機能遺伝子からなる染色体地図の作製に必要不可欠な、良好な染色体標本を高効率に作製する方法の条件検討が必要であると考えられる。肉鰭類においては、これまで用いたシーラカンスの凍結試料では平成24年度と同様に良好な結果が得られないことが想定されるため、シーラカンスと同様に多数のマイクロ染色体をもつ肉鰭類であるオーストラリアハイギョを用いた解析を行う。オーストラリアハイギョはペットショップ等で容易に入手することが可能であり、速やかに実験を進めることが可能である。
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次年度の研究費の使用計画 |
両生類1種の動物種においての解析を中心に行っていた平成24年度と異なり、平成25年度は軟骨魚類と肉鰭類の2種における解析を行う。そのため、細胞培養試薬やFISH用試薬をより多く使用することが予想されるため、次年度使用額をそれらの研究試薬に充てる。
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