肩甲骨と鎖骨の立体配置やそれらの位置変化の種間の違いと前肢の運動性の関係を、4種の霊長類を対象として定量的に比較した。接触型三次元デジタイザを用い、前肢骨格、前肢帯骨格、および体幹(胸郭)の位置を示す座標を、肢位を変えて取得した。また、X線CT撮影を行い、各個体の骨格要素の形状を抽出し、先に計測した三次元データに重ねあわせることにより、骨格の位置関係をソフトウェア上で復元し、前肢と前肢帯骨格の運動性を定量した。樹上性の強い種ほど腕の前方挙上の可動範囲が広いこと、鎖骨の長さだけでなく弯曲も、肩甲骨を背側に配置させ、腕を自由に運動させるために役立っていることなどが分かった。
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