タンザニアマハレ山塊国立公園にて、野生チンパンジーの観光客が持ち込む病原体への曝露状況を調べた。2回の調査時において感染症の症状はチンパンジーに見られなかった。寄生虫の検索において、これまでに報告した線虫、条虫、原虫が検出されたが、ヒト由来種は検出されなかった。次に、飼育下のチンパンジーのデータを参考に、ヒト由来呼吸器系病原体に対する糞中抗体の検出、並びに病原体遺伝子の検索を行った結果、ヘルペスウイルス科, 百日咳菌およびパラインフルエンザウイルス1/2/3に陽性を示すものが検出された。以上の事から、マハレのチンパンジーにおいてこれまで報告のなかったヒト由来人獣共通感染症の感染歴が示された。
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