研究課題/領域番号 |
24780003
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
最相 大輔 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (90325126)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | オオムギ / 地域適応 / 栽培進化 / 春化要求性 |
研究概要 |
本研究では,世界中から収集されたオオムギ遺伝資源を材料に,オオムギの栽培域を東アジアに拡大させた遺伝的な適応機構について,東アジア特異的に局在する高度秋播性に着目し,進化的・分子的な実態の解明を目的とする. 実施計画に従い,(1) 春播性遺伝子のリシークエンス,(2) 秋播性程度を決める新規遺伝子座の探索を実施した. (1)3つの春播性遺伝子座(VRN1/VRN2/VRN3)について,オオムギ標準品種から播性程度の変異を網羅するように選抜した野生オオムギを含む48系統を対象にリシークエンス解析を実施した.全体で約3kbの領域について解析し,得られた多型情報を用いてアリル間の系統関係を解析したところ,VRN1およびVRN3において,高度秋播性品種群が一つのクラスターを形成することが明らかとなった.VRN2については,最近米国のグループにより報告された機能変異にCNVが関わるという知見を考慮に入れ,解析を継続中である. (2) 秋播性程度に関わる遺伝子座を遺伝学的に検出する目的で, RIL集団を使ったQTL解析に取り組んでいる.全長約500cM程の部分的な連鎖地図を構築しQTL解析を実施したところ,3つの春播性遺伝子座に加えて,一つの新たなQTLを見いだした.このQTLは高度秋播性品種が持つアリルが低温要求度を深くする効果を持つと推定される. また関連研究においてこれまで全く報告のない染色体領域に位置することから,オオムギ品種群が東アジアへの栽培域の拡大の過程で「適応的」に獲得した遺伝子座である可能性がアリ,次年度以降の解析において主要な標的となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験によっては,予想以上の成果が上がった点と予想通り進まない点とが混在したため.
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の計画書通り,研究を進める.具体的には(1)リシークエンス解析に基づく系統解析により,オオムギ春播性遺伝子群の分子進化様式を明らかにする,(2)高度秋播性をもたらす新規QTLについて,連鎖地図構築を進めゲノム全域にわたって探索すると共に,遺伝子発現プロファイルを取得し,候補遺伝子の探索を試みる.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画書に従って,(1) 春播性遺伝子のリシークエンス,(2) 秋播性程度を決める新規遺伝子座の探索,の各々の実験に必要となる経費を,本研究費から執行する.
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