栽培オオムギは,中近東から中央アジアにかけて自生する野生オオムギから約1万年前に栽培化され,現在では世界中に分布域を持つ.オオムギは,出穂を促進させるため一定期間の低温(春化)に曝される必要がある.中でもアジアに栽培域を拡大する過程では野生種よりもより長い‘冬’を必要とする「高度秋播性」の獲得が各々の地域での適応性をもたらしたと考えられる.本研究では,世界中から収集したオオムギ品種を対象に,高度秋播性の進化的・分子的な実態の解明に取り組んだ.その結果,「高度秋播性」は,春播性遺伝子で見出された特定のハプロタイプ群と未知の春化応答遺伝子座とが複雑に相互作用して発現することが示唆された.
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