研究課題
若手研究(B)
栄養生長初期の発生の進行が遅滞したと考えられるイネ突然変異体、11A-s-266の原因遺伝子の機能解明のため、原因遺伝子の特定を試みている。ラフマッピングにより、該当原因遺伝子は、第2染色体長腕に座乗していることが明らかになった。その領域の中でも、1Mbp内に、原因遺伝子の座乗領域を絞り込んでいる。次に、11A-s-266突然変異体の葉身長は葉齢を重ねても、野生型のように長くならず、葉身幅にも大きな変化はないことが明らかになった。また、野生型では節が形成される播種1ヶ月後、節の形成や茎頂分裂組織の肥大が観察されなかった。さらに、野生型では中肋がはっきりと見られる第7葉において、突然変異体では全く中肋は形成されていなかった。以上、11A-s-266突然変異体において、栄養生長初期の発生の進行が遅延していることが確かめられた。しかし、11A-s-266突然変異体の葉身長の絶対値は、野生型に比べて極端に小さかった。例えば、突然変異体の第3葉葉身長は野生型の約25分の1であった。また、突然変異体の葉身の表面には通常見られない位置に、過剰に機動細胞様の細胞が形成されていた。これらのことから、11A-s-266突然変異体の原因遺伝子は、イネの栄養生長初期における時間的発生を制御する以外にも機能を持っていると考えられた。11A-s-266突然変異体の他に、イネでは野生型ではっきりとした葉身が見られない第1葉に長さ2mm以上の葉身を持つもの、また、第2葉および第3葉の葉身が長くなるものなど、栄養生長後期への相転換が早期に起こっている可能性のある突然変異体や、葉身のほとんど見られない葉を数枚生じた後、葉身の長い葉を形成しはじめる、栄養生長初期が延長したと考えられる突然変異体が単離された。
3: やや遅れている
real-time PCRの結果が再現性のあるものにするのに時間がかかっている。
今後は、計画の通り、11A-s-266突然変異体の原因遺伝子の単離のためのマッピングを完結し、原因遺伝子を単離し、相補性検定、遺伝子の発現解析や機能解析に進む。交配種子は自殖し、二重突然変異体の作成に進む。また、新たな交配も行う。新たに得られた突然変異体については、表現型解析を行う。
該当なし
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Nature Genetics
巻: 45 ページ: 334, 337
10.1038/ng.2534
RIKEN Accel. Prog. Rep.
巻: 2012 ページ: 印刷中