研究課題/領域番号 |
24780004
|
研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
永澤 奈美子(佐藤奈美子) 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00535289)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 突然変異体 / イネ / 時間的制御 / 細胞分裂 |
研究実績の概要 |
栄養生長期における相転換に異常がある突然変異体として単離された、11AS-266について解析を続けている。今年度は、11AS-266のアリルであると考えられる14AS-34を単離することができ、昨年度に明らかになった原因遺伝子内に点変異を確認した。系統樹解析より、原因遺伝子は、植物特有の、イネのシングルコピー遺伝子であることが示唆された。発現は、特にイネの地上部分裂組織付近で高いが、他の様々な部位で見られた。 栄養生長期における相転換に関する異常については、遺伝子発現の面から、その裏付けをとっているところであり、MORI1やPETER PAN SYNDROME遺伝子の発現が、11AS-266の茎頂分裂組織付近では低下していることが明らかになった。 また、11AS-266には、細胞の形態異常も見られた。異常は、特に、分裂組織から分化後しばらくした器官で顕著に見られた。さらに、突然変異体では分裂組織から分化後しばらくした器官での細胞分裂頻度が極度に低下するという現象も観察された。 以上の解析から、11AS-266の原因遺伝子は、栄養生長期の相転換だけでなく、細胞の形態、また、分化後しばらくした器官における細胞分裂頻度の維持にも必須の遺伝子であることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
相補性検定のための形質転換において、あきたこまちバックグラウンドの突然変異体への形質転換が通常より困難であったため。
|
今後の研究の推進方策 |
相補性検定のための形質転換を行う。 また、栄養生長期の相転換における異常および細胞形態関連の異常について、マーカー遺伝子およびこの突然変異体の原因遺伝子の発現をさらに詳細に解析し、理解を深める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究の成果として11AS-266の原因遺伝子が同定されたが、その確認を行うため、相補性検定が必要である。しかし、あきたこまちバックグラウンドの突然変異体への形質転換は予想以上に困難であった。
|
次年度使用額の使用計画 |
主に、相補性検定のための形質転換実験における消耗品、謝金として使用する予定である。
|