研究課題
11AS266突然変異体の原因遺伝子の発現パターンを解析したところ、主に分裂組織付近でパッチ状の発現が見られた。細胞周期のある一時期に発現が見られる他の遺伝子と同じ時期に発現しているのかどうかを二重染色法で確認したところ、細胞周期のS期に発現している訳ではないことが明らかになった。11AS266突然変異体をkorpokkur(kor)突然変異体と名付けて解析をつづけ、イネにおいて相転換の分子マーカーとして知られているmiR156およびmiR172の発現解析も行った。その結果、kor突然変異体において栄養生長期の相転換が正常に起こらない理由は、miR172の発現が上昇しないためであると考えられた。しかし、野生型ではmiR172の発現を抑制していると考えられているmiR156の発現は、野生型と同様に葉位が進むにつれて低下しており、kor突然変異体におけるmiR172の発現調節は、これまで知られている経路を介したものではないと考えられた。kor突然変異体の原因遺伝子として単離された遺伝子で突然変異体の表現型を相補できるか確認する実験では、形質転換がようやく成功し、形質転換植物を育て始めているところである。この植物体は、kor突然変異についてはヘテロであるため、種を収穫して播種、後代を育成することで、相補が成功したかどうかが明らかになる。同時に蛍光タンパク質venusを融合タンパクとして発現させた形質転換体も得ることができたため、そちらの解析も平行して行うこととなる。
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Euphytica
巻: 207 ページ: 245-254
10.1007/s10681-015-1531-z