研究課題/領域番号 |
24780008
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
小林 史典 独立行政法人農業生物資源研究所, 作物ゲノム研究ユニット, 研究員 (80584086)
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キーワード | コムギ / 赤さび病 / 6B染色体 / RW-12 / ゲノム |
研究概要 |
(1)赤さび病抵抗性コムギ系統「RW-12」と罹病性品種「ミヤギノコムギ」との連続戻し交雑より育成された、「さび系13号」および「さび系14号」、罹病性品種「小麦農林61号」のコムギ5系統を材料として用いた。「さび系14号」/「ミヤギノコムギ」、「農林61号」/「RW-12」の交配から得られたF2集団(それぞれ111個体、117個体)の赤さび病接種試験の結果、両集団で抵抗性個体数と罹病性個体数が3:1に分離した。このことから、抵抗性は優性の単因子支配であることが確認され、この結果は過去の報告と一致した。 (2)「さび系13号」は、「ミヤギノコムギ」/「RW-12」の交配後代(F1)に、「ミヤギノコムギ」による7回の連続戻し交雑を経て作出された抵抗性系統である。そのため、「RW-12」に由来するゲノム領域が限定されている可能性があり、LrRW12を含むゲノム領域が推定できると考えた。そこで、LrRW12の座乗領域を推定するために、次世代シーケンス技術を活用したGenotyping-by-Sequencing(GBS)解析(ゲノムの特定領域を抽出し、そのDNA配列を決定し、遺伝子多型を検出する手法)を行い、「RW-12」、「さび系13号」、「さび系14号」に共通するSNPを検出し、現在進められている6B染色体のゲノム解読から得られたBACシーケンスデータを利用して、6B染色体長腕に座乗するSNPを特定した。その結果、「さび系13号」における6B染色体長腕の広い範囲で「RW-12」のゲノムが保存されていると考えられ、抵抗性遺伝子領域を特定するまでには至らなかった。しかし、抵抗性3系統と罹病性の「ミヤギノコムギ」との間で、6B染色体上で多型が検出されたので、今後のマッピング用のマーカー作製の基盤情報となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画通りに、F2集団の抵抗性試験、マップ集団の親系統間のDNA多型の検出を行い、抵抗性遺伝子のマッピングの準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
F2集団(「さび系14号」/「ミヤギノコムギ」)のジェノタイピングをGBS法により行う。抵抗性試験の結果と合わせて連鎖解析を行い、抵抗性遺伝子のマッピングを行う。また抵抗性遺伝子の染色体領域について、6B染色体のゲノム情報から、当該領域のゲノム構造を調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に次世代シーケンス用試薬を購入する必要があるため。 次世代シーケンス試薬に使用する。
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