H25年度は、b-estradiol処理によって、外来遺伝子であるluciferase(Luc)遺伝子中のI-SceI siteに誘導的にDNA二重鎖切断を導入できるシロイヌナズナを材料に、アグロバクテリウム由来のVirD2を一過的に発現させ、DNA二重鎖切断部位への結合の有無をChIP assayによって解析した。切断誘導あり/なしの条件においてVirD2を発現させ、VirD2と共沈してくるDNAについて解析したところ、切断誘導がある場合、I-SceI site近傍のDNAが共沈しやすい傾向にあり、VirD2が植物ゲノム中のDNA二重鎖切断部位に直接または他のタンパク質を介して結合している可能性も示唆された。しかし、確証は得られていないので、、追試および検出系の改良を予定している。 また、b-estradiol処理によって誘導的にLuc内にDNA二重鎖切断を導入できる本材料を利用し、ジーンターゲッティング効率評価系も構築した。I-SceI siteを有するLuc遺伝子の上流にはプロモーターが存在しないため、材料となるシロイヌナズナはLucの発現を示さない。相同組換えによってLuc遺伝子上流にプロモーター配列を導入するジーンターゲッティングベクターを作成し、アグバクテリウム経由で形質転換したところ、I-SceIの発現を誘導し、標的遺伝子であるLucを切断することでジーンターゲッティング効率が5~10倍程度上昇することが確認された。さらに、両端にI-SceI siteを有するジーンターゲッティングベクターを一旦ゲノム内に挿入しておき、I-SceIの発現により、標的遺伝子の切断およびジーンターゲッティングベクターの切り出しを同時に行うことで、さらに10倍程度ジーンターゲッティング効率が向上することが示された。
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