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2012 年度 実施状況報告書

国際貿易を介した雑草の移入が、国内の雑草の分布と遺伝構造に与える影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24780011
研究機関京都大学

研究代表者

下野 嘉子  京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40469755)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードドクムギ属 / 輸入穀物混入種子 / 外来植物 / 遺伝構造
研究概要

(1)外国産個体の遺伝解析
アメリカ、カナダ、オーストラリアから輸入されたコムギに混入していたドクムギ属種子156個体、イタリアンライグラス(L. multiflorum)とペレニアルライグラス(L. perenne)の国内で流通量の多い栽培品種120個体、ドクムギ属の原産地である西アジアから地中海沿岸で採集された160個体について、その遺伝的関係を明らかにした。葉緑体DNAの遺伝解析により、原産地には多様な系統が生育しており、そのうち広域に分布する2系統が混入種子に、1系統がイタリアンライグラス栽培品種に優占していることが示された。これは、ごく限られた系統が大量に日本に持ち込まれていることを意味している。また、ペレニアルライグラス栽培品種からは、混入種子およびイタリアンライグラスから見いだされた系統とは大きく異なる系統が見いだされ、遺伝的には遠縁であることが示された。核DNA由来のマイクロサテライトマーカーによる遺伝解析により、輸入穀物由来のドクムギ属と栽培品種由来のドクムギ属は遺伝的に異なることが明らかとなった。
(2)重要港湾における定着個体群の遺伝解析
輸入穀物の陸揚げ量の多い港(平成20 年度港湾統計参照)のうち、地理的に離れた8港(茨城県鹿島港、千葉県千葉港、神奈川県横浜港、愛知県名古屋港、兵庫県神戸港、香川県坂出港、福岡県博多港、熊本県八代港)において、輸入穀物の搬入が行われる港のグレーンターミナル周辺、および港から穀物が運搬される主要道路沿いに生育する個体群の遺伝的関係を明らかにした。総計960個体を解析し、穀物輸入港に定着する個体群は全て、栽培品種より輸入コムギ混入種子と遺伝的に近く、輸入穀物からのこぼれ落ち由来であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画どおり、平成24年度は(1)外国産個体の遺伝解析および(2)重要港湾における定着個体群の遺伝解析を行い、その遺伝的関係を明らかにした。サンプルの採集およびDNA解析の行程は順調に進んでおり、平成25年度に予定していた国内個体群と国外個体間の系統関係およびその遺伝的類似度の解析まで行うことができた。その結果、輸入穀物由来のドクムギ属と栽培品種由来のドクムギ属は遺伝的に異なることが明らかとなり、今後、国内に定着する個体群を幅広く調べる上で有効な指標を得ることができた。

今後の研究の推進方策

これまでは穀物輸入港に定着しているドクムギ属個体に着目して調査を進めてきたため、今後は港の周辺や内陸に定着している個体に着目し、輸入穀物由来と考えられる個体がどこまで広がっているのか、農耕地で雑草化しているドクムギ属は輸入穀物、栽培品種どちらに由来するものなのかを明らかにする。
平成24年度の調査より、定着しているドクムギ属個体が多く、牧草地や農耕地が近い港を2港選定する。当初の計画では3港を選定する予定であったが、1カ所でより多くの個体を採集し、その地域の遺伝構造を詳細に把握するために、2港にしぼる。港の穀物荷揚げ場所を中心とし、その周辺の地域に生育しているドクムギ属個体の葉を採集する。その際、栽培品種の利用場所である河川敷や法面、ドクムギ属が雑草化している農耕地など、様々な生育環境を選定する。採集した葉を使用して遺伝解析を行い、葉緑体DNA を用いた系統解析および核DNA由来のマイクロサテライトマーカーの対立遺伝子頻度にもとづいたクラスター分析を行い、各個体群の系統関係および遺伝的類似度を明らかにし、輸入穀物由来と考えられる個体がどこまで広がっているのかを明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Distribution of herbicide-resistant Lolium populations in grain-import ports in Japan2013

    • 著者名/発表者名
      Shimono, Y., Konuma, A., and Tominaga, T.
    • 学会等名
      The Global Herbicide Resistance Challenge Conference
    • 発表場所
      Fremantle, Australia
    • 年月日
      20130218-20130222
  • [学会発表] Diffusion risk of a herbicide resistance gene to the Japanese feral ryegrass (Lolium spp) population2013

    • 著者名/発表者名
      Shimono, A., Sekine, S., Shimono, Y., and Osawa, R.
    • 学会等名
      The Global Herbicide Resistance Challenge Conference
    • 発表場所
      Fremantle, Australia
    • 年月日
      20130218-20130222

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公開日: 2014-07-24  

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