研究課題/領域番号 |
24780033
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
岡田 和馬 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所・リンゴ研究領域, 研究員 (10547722)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | リンゴ / 樹形 / カラムナー / マッピング |
研究概要 |
これまでの研究により、リンゴのカラムナー(円筒形)樹形を制御するカラムナー遺伝子(Co)は、第10連鎖群のマーカーCH03d11とHi01a03の間に座乗することが明らかになっている。Co遺伝子の高精度マッピングを行うため、マーカーCH03d11とHi01a03の間で組換えを起こした個体を、カラムナー性品種・系統の交雑実生約1600個体から探したところ、58個体が見つかった。また、リンゴの公開ゲノム配列情報を利用して、CH03d11とHi01a03の間約1.7Mbの塩基配列から45個のSSRマーカーを設計した。これらのSSRマーカーを用いて58個体の遺伝子型を調査し、表現型と対応させたところ、Co遺伝子はマーカー11-1と14-3の間約180kbの領域に存在することが明らかになった。 180kbの候補領域に存在する予測遺伝子のうち、オーキシン誘導性遺伝子に着目し、普通樹形品種「McIntosh」とカラムナー性品種「Wijcik」から遺伝子をクローニングした。塩基配列を解析した結果、両品種からクローニングした遺伝子の配列に違いは見られなかったことから、オーキシン誘導性遺伝子はカラムナー性には関与していないと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画では、Co遺伝子の高精度マッピングを行い、Co遺伝子の座乗領域を100~200kb程度に絞り込む予定であった。現在までに、Co遺伝子の座乗領域を、リンゴの公開ゲノム配列に換算して約180kbに絞り込むことができたので、研究は計画通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
リンゴの公開ゲノム情報を利用して、Co遺伝子の座乗領域に相当する配列から、候補遺伝子を探索する。一方、公開ゲノム情報には塩基配列が読めていないギャップ領域や曖昧な領域、品種間差が存在することから、ゲノムライブラリーの作製やPCRなどの手法を用いて、候補領域をクローニングし、塩基配列の解析を行う。得られた配列から遺伝子予測ソフトを用いてORFを予測する。 予測されたORFの構造や塩基配列、発現パターンを普通樹形品種「McIntosh」とカラムナー性品種「Wijcik」の間で比較し、違いの見られる遺伝子を探索する。また、両品種間で見られた塩基配列の違いを利用して、カラムナー性個体を効率的に選抜できるマーカーを開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
組換えを起こした個体を効率的に同定できたことや、マッピングに用いるSSRマーカーを効果的に配置することができたため、当初の見積もりより少ない経費で実験を進めることができた。一方、絞り込んだ候補領域に相当する公開ゲノム配列には、塩基配列が読めていないギャップ領域や曖昧な領域、品種間差が想定よりも多く存在していたため、当初の計画に加えて、次年度は候補領域のクローニングと塩基配列解析を追加する予定である。繰越額は、これらの実験経費として使用する予定である。
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