研究概要 |
リンゴのカラムナー性は単一の優性遺伝子Coに制御される.ファインマッピングにより絞り込んだCo遺伝子の座乗領域をクローニングするため,カラムナー品種 ‘Telamon’ からBACライブラリーを作製した.分画1のDNAから作製したライブラリーは49,152クローン,分画2のDNAから作製したライブラリーは3,840クローンから構成されており,平均インサートサイズは分画1のライブラリーが166 kb,分画2のライブラリーが153 kbであった.リンゴのゲノムサイズは約750 Mbであることから,作成した分画1及び分画2のライブラリーはそれぞれ10.9ゲノムと0.8ゲノムに相当し,リンゴゲノムの99%以上をカバーしていると考えられた. Co遺伝子と密接に連鎖するSSRマーカー11-1を用いてBACライブラリーをPCRスクリーニングした結果,Coと相引に連鎖する領域を含む7クローンが単離された.これら7クローンを整列化したところ, 2クローンがCo遺伝子の座乗領域を完全にカバーしていた.次に,SSRマーカーとBAC末端配列からプライマーを設計することができたCo遺伝子座乗領域内の5つの領域 (R1~R5) に対し,Coホモ個体とcoホモ個体のゲノムDNAを鋳型にして Long PCRを行った.R1, R3~R5領域ではCoホモ個体とcoホモ個体から増幅された断片長に大きな違いは見られなかったが,R2領域ではCoホモ個体から約16 kbの断片が,coホモ個体から約8 kbの断片が増幅された.16 kbと8 kb断片の塩基配列を決定し比較したところ,Coホモ個体にはLTR型レトロポゾンと考えられる約8 kbの配列が挿入されていることが明らかになった.この挿入変異を利用することにより、カラムナー個体を効率的に選抜できるDNAマーカーを開発することができる.
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