研究課題/領域番号 |
24780034
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
佐々木 克友 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 花き研究所花き研究領域, 主任研究員 (60469830)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | キク / 転写因子 / 集合花 / 舌状花 / 管状花 |
研究概要 |
本研究では、集合花における花芽分化から花器官形成の制御に関わる分子基盤を明らかにすることを目的としている。 本研究の遂行に際して、本研究所では先行して園芸品種‘セイマリン’を解析対象として用いてEST解析を進めている。今年度はこのEST情報をもとにオリジナルマイクロアレイを作成し、その結果を基にキクの集合花形成に関わる転写因子の抽出作業を行う予定でいたが、外注していたESTの解析が予定より遅れて平成24年度の秋にまで至った。以下に科研費の申請書に記載した平成24年度計画に沿って研究実施成果を説明する。 ○『集合花での花芽分化と花器官形成に重要な転写因子の抽出』については、今年度はキクのオリジナルマイクロアレイを作成して花器官形成に関わる転写因子を抽出し、解析対象の絞り込み作業を行う予定であった。園芸キクは6倍体でありゲノムサイズも大きくESTの整備が遅れたため(結果的にcontig数;遺伝子数は約130kに至った)、オリジナルマイクロアレイ(180kアレイ)の作成が年度末になったものの、年度中にオリジナルマイクロアレイの解析結果が得られている。現在もマイクロアレイの解析中ではあるが、集合花における舌状花および管状花の違い、またこれら2種類の花の形成される領域の違いに関与する可能性のある候補転写因子が抽出されている(現在のところ8種類)。 ○『キクのABC遺伝子およびその制御因子の単離および発現解析』についてであるがキクのESTでは殆どの転写因子遺伝子に関して3'、5'末端情報が得られていなかった。そのため花器官における詳細な遺伝子発現解析を目的として、‘セイマリン’からABC遺伝子の3'、5'末端配列を単離して配列を決定した(現在も進行中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、キクを用いて集合花における花芽分化から花器官形成の制御に関わる分子基盤を転写因子を解析対象として明らかにすることを目的としており、これについては概ね順調に研究は進展している。理由として挙げられるのは、本研究の根幹になるキクのESTを用いたオリジナルマイクロアレイの作製とこれを用いたアレイ解析による集合花の花器官形成の重要な鍵となる転写因子の抽出が概ね順調に進んでいるからである(本研究で明らかにする研究目標ー1)。これと同時進行に進めているABC遺伝子等を用いたキク等の集合花形成に関与する遺伝子の時間・空間的な制御の仕組みに関する解析(本研究で明らかにする研究目標ー2)についても、ABC遺伝子等の転写因子遺伝子の単離を進めており、既に幾つか単離されてきているので、次年度の研究に向けた当該年度の研究の達成度については、概ね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度(平成25年度)以降も報告書に記載した研究計画に従って研究を推進する予定である。今後の具体的な方策であるが、一つ目としてはオリジナルマイクロアレイ結果の解析を進めて集合花の形態形成に関わる候補転写因子を抽出し、この転写因子機能を効率的に抑制(または増強)したキク組換え体作出に向けた高効率発現ベクターの構築を行う。二つ目としては、作成した転写因子遺伝子を組み込んだベクターを用いてキク組換え体の作出を開始する。三つ目としてはキクのABC遺伝子およびその制御因子の単離を進める。遺伝子の単離後については、これらの遺伝子を用いてキクの各花器官における発現解析を進め、集合花におけるABCモデルに関与する遺伝子の発現特性を詳細に解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は交付申請時の計画通り使用する。なお、次年度使用額338,616円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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