昨年度までに選抜したSTS-WG44マーカーを含む3つのBACクローンについて、次世代型シーケンサーGSFLX+を用いて塩基配列の解読およびアセンブルした結果、3つのクローンはいずれも同じクローン配列であった。このことから、STS-WG44マーカーが複数の領域を増幅している可能性は少ないと考えられた。そこで、最も長いコンティグ配列が得られたN80クローンについて詳細な解析を進めた結果、92Kbのコンティグ配列の中に病害抵抗性遺伝子に特徴的な配列であるNBS-LRR型のモチーフを持つ遺伝子が少なくとも6個存在すると推定された。 次に、これら候補遺伝子の中から原因遺伝子の絞り込みを行うため、カーネーションの全ゲノム情報を用いて、コンティグ配列と対応するスキャホールド配列を特定し、STS-WG44マーカーから約40kb離れた両側の位置に存在する新規のSTSマーカーを作成した。これらのマーカー間で組み換えを生じている個体を選抜するため、選抜育種がより進んだ実際の育種集団の中から、360個体についてマーカーの有無を解析した結果、すべての個体がこの領域を保持しており、このマーカー間の領域で組み換えを起こしている個体を見出すことはできなかった。STS-WG44マーカーの近傍領域には、予想以上に多数の病害抵抗性関連遺伝子が存在したことから、今後は解析集団を大規模化し、新規に作成することができたマーカー間で組み換えを生じている個体を見出し、遺伝子の絞り込みを行う必要がある。
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