毒性が異なる3種のキュウリモザイクウイルス(CMV)が感染した植物退緑組織における遺伝子発現を網羅的に解析した.CMV株間で発現が質的に異なる遺伝子はなく,宿主遺伝子発現の量的差違がCMV株間の毒性の違いに関係していると示された.発現量が減少していた遺伝子の多くは光合成関連遺伝子であり,これらの発現減少が退緑の原因と考えられた.一方で,光合成関連遺伝子の発現を制御するシロイヌナズナ転写因子atGLKが恒常発現する組換え体は,野性型植物同様に,CMV感染により退緑症状を示して光合成関連遺伝子の発現量も減少した.したがって,CMVによる退緑症状にはGLK経路は関与していないと考えられた.
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