研究課題
寄生性線虫における難培養性はゲノム解析時の大きな障害となっており、一個体の線虫(single worm)からの全ゲノム増幅(WGA)‐次世代シーケンサー(NGS)による解析は、寄生性線虫におけるゲノム研究に大きな進展をもたらすと期待される。本研究では寄生性線虫における全ゲノム増幅-次世代シーケンシング法を開発し、線虫個体間の比較ゲノム解析に用いることで寄生線虫の病原性関連遺伝子の解明を目指す。今年度は3種の全ゲノム増幅法をC. elegansゲノムDNAに適用し、各増幅産物をIllumina社Hiseq2000を用いてシーケンス解析を行った。シーケンスライブラリーサイズには350bと3kを用い、ライブラリーサイズによる品質への影響も検討した。同時に非増幅DNAを用いて同様のライブラリー作製およびシーケンスを行い比較標準とした。C.elegansのゲノムDNA10ugを数マイクログラムに増幅し、各ライブラリーを作成し、次世代シーケンスリードを獲得した。得られたNGSリードをリファレンスゲノムにマッピングし、増幅均一性(カバレージ)、一塩基多型(SNPs)、キメラ構造DNAの生成について検討した。その結果、全ゲノム増幅による一塩基多型への影響はあまり大きくないこと、リピートが多く含まれるゲノム領域での増幅が一定にならないこと、ライブラリーサイズが大きい場合には増幅時に作成されるキメラDNAがライブラリー品質に大きな影響を与えることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
本プロジェクトはほぼ当初の計画通り、順調に進展している。
今年度の解析で最も成績の良かったゲノム増幅法を用いて、寄生性線虫の個体を増幅し次世代シーケンスリードを獲得し、個体間の比較解析を行う。
今年度は機械の稼働状況から実施できなかった次世代シーケンシング解析を次年度に繰り越したため。26年度の次世代シーケンシング解析に使用する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件)
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