研究課題/領域番号 |
24780045
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
竹内 香純 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (40370663)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バイオコントロール細菌 / シグナル伝達系 / 植物保護 / 二次代謝産物 |
研究概要 |
平成24年度は、Pseudomonas fluorescensの抗菌性への関与が明らかにされた菌体内シグナル物質ppGpp(グアノシン4リン酸)について、合成酵素遺伝子等の欠損変異株を用いそれらの植物保護能力を詳細に検定した。ppGpp合成酵素遺伝子relA、および合成酵素と分解酵素の両方を司る遺伝子spoTの両方を欠損させた二重変異株においては、菌体内におけるppGppの蓄積がみられなくなるが、この二重変異株ではキュウリ幼苗とその病原菌(Pythium ultimum)を用いた実験から、植物保護能力が顕著に低下していた。さらにキュウリ根圏における定着能力を各菌株のコロニー形成数により比較したところ、二重変異株では野生株と比較し1オーダーの低下がみられた。また二重変異株では抗菌性物質の生産能が低下することが確認されたため、ppGppは抗菌性物質の発現を通じて植物保護能力に正に関与するほか、上述の通り定着能力にも作用することから、本細菌のバイオコントロール細菌としての総合的な機能を維持する上で重要であることが示された。 また、ppGppは元来アミノ酸飢餓における警告物質として機能するなど、細菌が受ける様々なストレス下で重要な役割を担うことから、ストレス応答性シグマ因子rpoSの発現についても興味がもたれた。lacZレポーター遺伝子の発現解析の結果から、relA/spoT二重変異株では、野生株と比較しrpoSの発現が低下していたことから、P. fluorescensにおいても、ppGppがrpoSの発現に正に関与することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Pseudomonas属細菌の抗菌性に関与するセカンドメッセンジャーとして、平成24年度はppGppの正の関与を明らかにしたことから、当初の研究目的として掲げていた内容をクリアしたため。
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今後の研究の推進方策 |
植物保護能力の検定試験について、当初の予定よりも順調に進んだことから、平成24年度予定していた予算よりも低額で研究を行い、差額を次年度に使用することとした。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、ppGpp以外の物質に関する解析を行う予定であり、次年度使用額はその分析に係る経費に使用する。
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