研究課題/領域番号 |
24780045
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
竹内 香純 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物・微生物間相互作用研究ユニット, 研究員 (40370663)
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キーワード | バイオコントロール細菌 / シグナル伝達系 / 植物保護 / 二次代謝産物 |
研究概要 |
平成25年度は、細菌のセカンドメッセンジャーとして知られるシグナル物質のうち、Pseudomonas protegens CHA0株(旧学名 Pseudomonas fluorescens CHA0株)の抗菌性発現シグナル伝達系への関与に興味がもたれたc-di-GMP(サイクリックdi-GMP)について調べることとした。c-di-GMPについては、合成酵素のホモログがゲノム中に複数個見出され、それぞれの単独の欠損変異株ではリダンダンシーによる回復の問題があり、また全ての多重変異株の作出は困難であるため、それぞれの過剰発現個体を得て野生株との比較を行うこととした。P. aeruginosaにおける報告から、特に合成酵素としての機能の高いホモログをCHA0ゲノムから3つ選び、クローニングおよびCHA0株への導入を行った。抗菌性発現シグナル伝達系への関与を明らかにするため、このシグナル伝達系の中心的な役割を果たすGacS/GacA二成分制御系のGacA(response regulator)のペプチド抗体を作出し、この抗体がGacAタンパク質に特異的に反応することを確認したのち、各導入株におけるGacAタンパク質の発現量の比較をウエスタンブロット解析にて行った。3つの導入遺伝子のうち、PFL_5054導入株については、野生株と比較してGacAタンパク質の発現が高まっていたことから、c-di-GMPが正に関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、これまでメタボローム解析で得られた結果から着目していた物質に加えて、近年の報告から興味のもたれた物質も対象とし、解析を行った。また、GacAタンパク質を特異的に検出しうる抗体を得たことで、セカンドメッセンジャーに限らずこの一連のシグナル伝達系の解析手法を進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、c-di-GMPの詳細な解析を進めるとともに、他の物質についても調べることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
GacAタンパク質を検出する抗体が得られたことで研究が加速化し、この研究内容に関して平成25年度中に論文を執筆し、投稿および受理に至り、当初計上した消耗品費等が少なくて済んだため。また、物質の分析はまとめて行った方が効率が良いため、次年度行うこととした。 Pseudomonas属細菌の代謝産物および抗菌性物質(特に、新規物質)の分析に用いることとする。
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