平成26年度は、平成24年度、25年度を通じて研究対象としてきたPseudomonas fluorescens CHA0株(Pseudomonas protegens CHA0株に学名変更)以外にも、他の近縁のPseudomonas属細菌に対象を拡げ、その中でも特に顕著な植物保護効果を示したPseudomonas sp. Os17株について、その植物保護能力の制御に関わる因子の探索を試みた。 Os17株においても、抗菌性制御のシグナル伝達系の中心的な役割を果たすGacS/GacA二成分制御系のGacA(response regulator)のホモログを単離、同定し、その欠損変異株を作出し以後の解析に供した。まず、枯草菌に対する抗菌性評価検定試験に供したところ、CHA0株と同様、GacA欠損変異株では抗菌性が失われることが明らかとなった。次に、調節型small RNAの一つであるrsmZの発現パターンを評価する系を確立し、その発現が菌密度依存的であること、GacA欠損変異株では発現レベルが低下することを明らかにした。さらに、Os17株に特有の抗菌性二次代謝産物をLC-MSにて評価したところ、少なくとも5種類の類縁体が同定され、これらはいずれもGacA欠損変異株では検出限界以下であったことから、上述のGacA依存性を確認した。これらの成果をもとに、Os17株における新たなセカンドメッセンジャーの探索が可能となった。
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