研究課題
アイルランドで起こったジャガイモ飢饉の原因菌であるジャガイモ疫病菌が分泌するエフェクタータンパク質AVR3aは、宿主のCMPG1ユビキチンE3リガーゼを標的にして免疫反応を抑制する。CMPG1に何らかの修飾を加えてその機能を抑制すると考えられたため、その未知の修飾の実体解明に取り組んだ。AVR3aとCMPG1を共発現させたタバコ属ベンサミアナまたはシロイヌナズナのオルソログであるPUB20の過剰発現体からタンパク質を抽出して質量分析し、その結果を元に変異体解析を行ったところ、PUB20のARMドメインがユビキチン化されていることが明らかとなった。植物体内でこのユビキチン化がどのような生理学的意義を持つのか調べるために、変異型PUB20をシロイヌナズナpub20変異体に導入した形質転換体を作製、解析した。さらに、酵母ツーハイブリッド解析により、CMPG1のARMドメインをアミノ酸置換するとAVR3aと結合しなくなることが明らかとなった。そこで、AVR3aが植物体内で変異型CMPG1を標的にできなくなる可能性を検証するために、VIGS法によりCMPG1をノックダウンさせてendogenousのCMPG1の影響を減少させたベンサミアナ葉に、VIGSを回避するようにコドンを入れ替えた人工CMPG1を発現させてexogenousのCMPG1の機能を解析できる実験系を構築した。変異型CMPG1を発現させたところ、AVR3aにより標的されなくなることを示唆する結果が得られた。
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Nature Communications
巻: 4 ページ: 2215
10.1038/ncomms3215
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