外界からの情報を正確に感知し、適切に応答することは、動物の生存・子孫維持に極めて重要である。本研究者は比較的シンプルな構造からなる昆虫の嗅覚系に着目し、性フェロモン受容が行動を制御する仕組みの解明に取り組んできた。本研究ではカイコガの脳より神経活動依存的に発現量が増加する新規な遺伝子としてHr38を同定し、これがカイコガ・ショウジョウバエの脳において神経活動のマーカーとして利用できることを見出し、異性の匂いに応答する細胞の包括的同定に成功した。さらに遺伝子組換え昆虫を用いて神経活動の起こった神経細胞特異的にGFPなどのレポーター遺伝子を発現する昆虫の作成を試みた。
|