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2013 年度 実施状況報告書

高いRNAi効果を示すカイコ系統の作出

研究課題

研究課題/領域番号 24780052
研究機関独立行政法人農業生物資源研究所

研究代表者

小林 功  独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝子組換えカイコ研究開発ユニット, 研究員 (70442829)

キーワードRNAi / SID-1 / カイコ
研究概要

1) 幼虫の体色(真皮細胞における尿酸顆粒の蓄積)に関わる遺伝子群の網羅的RNAi
A3プロモーター制御下でGal4を発現するカイコとUAS下流にSID-1を持つカイコを交配し、Gal4/UASバイナリー発現システムによりSID-1を発現するカイコを系統化した。この2齢幼虫にdsRNAを注入する実験を行った。真皮細胞における尿酸顆粒の蓄積に関わる遺伝子Bmwh3、Varp、BLOS2、og、Bmok、XDH2に対するdsRNAを作製し、500 ng相当のdsRNA溶液をそれぞれ注入した。これらの遺伝子は油蚕の原因遺伝子として知られる。このうち、Bmwh3-dsRNA (2.3 kb)を注入して2日後のカイコの皮膚の一部が油蚕の表現型になった。この表現は5齢まで継続した。RT-PCRによってmRNAの発現量を調べたところ、顕著なBmwh3の発現抑制が観察された。Varp、BLOS2、og、Bmok、XDH2に対するRNAiでは油蚕は現れなかった。
2) dsRNAの注入時期やdsRNAの長さと注入量を検討
dsRNAの長さを検討した。2.3 kbと0.14kbのBmwh3-dsRNA、それとsiRNAを作製した。500 ng相当のdsRNAあるいはsiRNA溶液をそれぞれ10頭の2齢幼虫に注入した。2.3 kbのBmwh3-dsRNAでは、8頭の油蚕が出現した。0.14 kbのBmwh3-dsRNAでは、4頭の油蚕が出現した。siRNAでは油蚕は出現しなかった。次にdsRNAの注入量を検討した。2.3 kbのBmwh3-dsRNAを500ng、50ng、5gになるようにそれぞれ10頭の2齢カイコに注入した。500ngでは8頭、50ngでは9頭、5ngでは6頭の油蚕が出現した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

甲虫目や半翅目の昆虫と比較して、カイコにおけるlarval RNAiの効果は低いことが考えられる。そこで、SID-1のdsRNA輸送能力をカイコに付加することによりRNAi効果が向上されることが明らかになった。しかし、遺伝子の種類によってその効果にばらつきがあることも明らかになった。RNAi効果は遺伝子の発現部位や発現量に依存していると考えられた。dsRNA の長さや量によってRNAI効果が変化することが明らかになった。今回、siRNAはRNAi効果がなかったことから、SID-1はsiRNAを輸送できないことが推測できる。25年度の実験経過は予定通りである。

今後の研究の推進方策

カイコにおけるRNAi成功例と失敗例の事例を蓄積するために、形態形成や成長ホルモンに関わる遺伝子群のRNAi実験を行う。SID-1発現量の改善を試みて、よりRNAi効果の高い遺伝子組換えカイコを作出する。得られたデータの論文化を進める。

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公開日: 2015-05-28  

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