研究実績の概要 |
カイコの幼虫期におけるIAPノックダウン実験を行った。1μg のIAP-dsRNAをSID-1発現カイコ2齢幼虫に注入したところ、2日後には10頭中8頭が死亡した。SID-1を発現しないコントロールの幼虫にIAP-dsRNAを注入した場合は、10頭中1頭のみ死亡した。IAP-dsRNAを注入しないコントロールの幼虫では、死亡する個体は現れなかった。アポトーシスに関連すると考えられているIAP2に対するノックダウン実験を行った。しかしながら、IAP2-dsRNAを作製し、1μg 相当を2齢幼虫に注入した。SID-1発現カイコにおいても死亡する個体は現れなかった。SID-1を発現するカイコ培養細胞においてIAP2ノックダウン実験を行った。IAP2-dsRNAを培地に添加し、細胞の状態を観察したが、特に変化は見られなかった。 POUM2は幼虫から蛹への変態に関わる遺伝子である。POUM2のRNAiは蛹化を阻害させることが証明されている(Deng, 2012)。SID-1発現カイコにおいてPOUM2-dsRNAによって蛹化阻害が引き起こされるかどうか調べた。5齢7日の幼虫に1頭あたり10μgのPOUM2-dsRNAを注入した。しかしながら、dsRNAを注入した10頭のうち9頭は、正常に蛹になった。非組換えのDaizo系統を用いて同様に実験を行ったが、10頭中9頭は正常に蛹になった。 カイコ幼虫において協力な発現活性を持つhsp70プロモーターを利用してSID-1を恒常的に発現させるプラスミドを作製した。このプラスミドをカイコのゲノムDNA中に組込む実験を数回行ったが、現時点では組換え体は得られていない。
Deng et al., (2012) PNAS 109(31) 12598-12603
|