アゲハチョウ科の雌成虫はふ節の味感覚子で産卵刺激物質(味物質)を受容、識別し厳密な寄主選択を行う。寄主植物葉に含まれる産卵刺激物質は同定されているが、複数の物質が混合して初めて産卵刺激活性を持ち、その受容メカニズムは謎である。申請者は、アゲハチョウ科3種の化学情報受容メカニズムを解明するため、電気生理学的手法による雌成虫ふ節感覚子の産卵刺激物質受容機構の解明を目指してきた。本研究成果によって、アゲハチョウ科3種は、産卵刺激物質の受容の特化した3種類の味細胞(神経細胞)を持ち、それらの味細胞の同時的発火(興奮)により産卵行動を制御するといった共通の制御機構を持つ可能性が示唆された。
|