研究実績の概要 |
ディジェネレートPCRおよびRACE法により,チャから2種類のCsSTOP1相同遺伝子 (CsSTOP1とCsSTOP2) を単離した.これら遺伝子の機能を評価するため,シロイヌナズナSTOP1遺伝子破壊株への組換え植物体の作製を行った.このCsSTOP1-compラインのT2世代を用いた解析を行ったところ,CsSTOP1-compラインにおいて,低pH処理によるPGIP1,CIPK23,AtSTOP2発現量の回復がみられた.これに対し,Al処理によるAtALMT1,ALS3,AtMATE,GDH1,PLT3発現量の回復は見られなかった.同様に根伸長の回復を指標とした相補性試験においても,低pHストレスに対する根伸長の回復は見られたが,Alストレスに対する根伸長の回復は見られなかった. 一方,Alおよび低pHストレスに対する遺伝子発現をマイクロアレイ解析により比較したところ,CsSTOP1-compラインでは野生型よりそれぞれ1,310,441遺伝子の発現量が2倍以上有意に増加し,457,134遺伝子発現量がそれぞれ1/2以下に有意に減少した.同様に,CsSTOP2-compラインでは野生型よりそれぞれ854,389遺伝子の発現量が2倍以上有意に増加し,457,134遺伝子発現量がそれぞれ1/2以下に有意に減少した.CsSTOP1またはCsSTOP2の発現制御機構をAtSTOP1と比較した結果,両者は異なる制御応答を示すことが示唆された. さらに,チャの次世代シークエンサーを用いたRNA-sequence解析を行ったところ,これまでに単離した2種類のSTOP1相同遺伝子のほかにも,数種類のオーソログが存在することが明らかとなった.
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