研究課題/領域番号 |
24780062
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
長坂 征治 東洋大学, 生命科学部, 准教授 (60534013)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ムギネ酸類 |
研究概要 |
ムギネ酸類生合成酵素タンパク質と蛍光タンパク質の融合タンパク質を用いた解析に用いるベクターの構築の準備として、イネの培養細胞を蛍光タンパク質のみを発現させるベクターを用いて形質転換し、蛍光タンパク質の安定した発現と発現したタンパク質の蛍光強度について評価を行った。ベクターには、RFP、CFP、GFPあるいはmCherryを蛍光タンパク質遺伝子として組み入れたものを準備した。プロモーターには過剰発現用のカリフラワーモザイクウィルス35Sプロモーターを用いて検討を行ったが、いずれも蛍光が弱い、あるいは自家蛍光との判別が難しかった。形質転換に用いる細胞の調整法、発現制御のためのプロモーターを変更し、再度発現量の解析を行っている。 ムギネ酸顆粒を単離し解析するためにオオムギからの顆粒分画を行った。オオムギは、イネと比較してムギネ酸類を大量に生合成、放出するため、ムギネ酸顆粒の調整に適している。水耕栽培し鉄欠乏処理を行ったオオムギから、夜明け前に根を回収し細かく切断した後、一般的な細胞内小器官の分画法に従い、遠心分離を用いて粗分画を行った。各画分からタンパク質を抽出して、ムギネ酸類の生合成関連酵素であるNAS、NAAT、IDS3についてウエスタンブロッティングに供した。その結果、少なくともNASとNAATについては小胞画分での存在が確認された。また粗画分であるため、現在はムギネ酸顆粒の精製を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、ムギネ酸類生合成関連酵素タンパク質と蛍光タンパク質との融合タンパク質ベクターを作るはずであったが、安定的に発現する蛍光タンパク質の選定に時間がかかっている。また、他のプロモーターを探すための時間が必要であり、培養細胞の系での進展は遅れている。 一方で、オオムギ根からのムギネ酸顆粒の精製については、粗画分ではあるが顆粒画分が得られている。ウエスタンブロッティング法での確認が有効であったことから、プロテオーム解析について早めに着手できるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
イネの培養細胞で効果的に発現、解析可能な蛍光タンパク質、プロモーターを決定し、融合タンパク質を発現する細胞について,詳細な観察を行う。発現が安定した後に、鉄欠乏によるムギネ酸顆粒の形成量の変化,細胞内での挙動,鉄の再施肥による変化など,様々な条件下で観察を行う。 粗画分からのムギネ酸顆粒の精製を進めプロテオーム解析を行い、顆粒の輸送に関わるタンパク質群の解析を行う。プロテオーム解析では高度に精製した画分が適していることから、密度勾配法により分離したものについて、ウエスタンブロッティング法だけでなく、電子顕微鏡観察による評価を行う。一方、ゲノム情報を考慮した場合には、オオムギではなくイネを用いプロテオーム解析が必要となるため、イネからのムギネ酸顆粒の単離についても検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
プロテオーム解析、電子顕微鏡による観察など大型機器が必要な実験は大学に設置済みの装置を使うため、試料調整、機器に使用する消耗品類の購入に経費を割く。24年度はまとまった結果が得られなかったため学会発表等を行わなかったが、25年度は結果をまとめ論文等の発表を行う予定でありそのための経費を計上している。
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