研究課題
H25年度は当初計画通り、(1)CsgD支配下機能未知蛋白のバイオフィルム形成細胞における機能解明、(2)CsgD発現シグナル伝達に関わる細胞表層蛋白の局在部位の解明、(3)Curli線毛発現を感知する表層ストレス応答機構の解明を目指し研究を実施した。(1)についてはCsgD支配下機能未知蛋白をコードする遺伝子のうち、CsgD依存的遺伝子発現の変化が認められた遺伝子の欠損株についてバイオフィルム形成に与える影響を調べたが、野生株との顕著な差は確認されなかった。また、前年度の研究において顕著なCsgD依存的発現誘導が確認されたYhbU蛋白は、そのアミノ酸配列からコラゲナーゼと推定されたことから、単離精製後、コラーゲン、およびゼラチンに対する分解活性の検出を試みた。しかし、それら基質に対する分解活性が確認されなかったことから、その他の機能的役割があると考えられた。現在、これら機能未知蛋白発現のCurli線毛形成への影響を調べているところである。(2)については、現在までにLB培地で培養した大腸菌細胞内で過剰発現させたペリプラズム・リポ蛋白のうち、顕著なcsgD発現誘導を引き起こすものは確認されていない。今後、ペリプラズム・リポ蛋白以外に内膜に存在する蛋白にも範囲を広げ、大腸菌細胞におけるそれら蛋白の局在部位の同定、csgD発現制御に関わる二成分制御系センサー蛋白との相互作用の有無など表層ストレス応答機構における役割について明らかにしていく予定である。(3)については、CsgA蛋白過剰発現株において新規に二成分制御系BarA/UvrYによって制御されるcsrB発現が抑制されることが明らかとなった。Curli線毛の過剰発現により活性化される二成分制御系CpxA/CpxR系の欠損株においても同様のcsrB発現抑制効果が観察されたことから、新規Curli発現応答機構の存在が示唆された。
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