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2012 年度 実施状況報告書

枯草菌における窒素同化の動的数理モデルによる理解

研究課題

研究課題/領域番号 24780072
研究機関千葉大学

研究代表者

高橋 弘喜  千葉大学, 真菌医学研究センター, 准教授 (60548460)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード窒素同化 / 数理モデル
研究概要

微生物にとって、窒素同化はアミノ酸生合成に不可欠な要素であり、この効率化をタンパク質合成等の物質生産に生かすことができれば非常に有益となる。ゲノム領域が大幅に欠失している枯草菌MGB874は、正常に生育し、転写制御等も野生株とほぼ同様でありながら、外来タンパク質合成が増進されるという、物質生産に極めて有利な特徴を有している。これまでの解析から、MGB874ではグルタミン酸の顕著な蓄積が観察されており、グルタミン酸の関わる窒素同化こそが、MGB874の外来タンパク質合成の増進に繋がっていると考えられている。枯草菌野生株とゲノム縮小型株それぞれに関して、窒素同化に関わる代謝産物の量比を明らかにし、代謝のシステム的理解を目指す。
今年度は、質量分析データ解析ソフトウエアであるAMDORAPの改良を行った。生データからピーク検出までの一括処理というこれまでの機能に加えて、新たにクロマトグラムピークの自動判別を実装した。具体的には、データの前処理時のノイズ除去手法としてガウシアンフィルタリング、二回微分ガウシアンの両手法を採用しこれを実装した。ノイズの多かったクロマトグラムのピークにおいて、信頼性の高い領域の抽出を可能にしている。これにより、例えば二つのピークを有しているフェニルアラニンにおいては、保持時間の異なる二つのピークの自動判別に成功している。以上の改良によって、メタボローム解析の解析基盤の構築が完了した(http://amdorap.sourceforge.net/)。さらに、窒素条件下での枯草菌の代謝物プロファイルの取得に向けて、培養条件の検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、代謝物データ解析ソフトウエアAMDORAPの改良を遂行した。当初の達成目標ではソフトウエアの改良を想定していなかったが、申請時には考え付くに至らなかったデータ解析手法の問題点を新たに発見したために、それを克服するべく新手法の導入を試行錯誤の上、実現した。この点に関して、非常に柔軟に対応できたと考えている。一方で、達成目標に掲げていた枯草菌の代謝物プロファイルの取得には未だ至っていない。窒素源としての試薬の選定ができていないことから、条件検討を早急に進める必要がある。さらに、グルタミン酸周辺の代謝反応の理解に向けて詳細な文献情報の整理に着手しており、当初の計画通り達成できていると考えている。

今後の研究の推進方策

枯草菌の培養条件の検討をさらに進め、代謝物プロファイルデータの取得に早急に着手する予定である。さらに、数理モデル化にも着手し、より簡潔にシステムを記述できる数理モデルの構築を目指す。一方で、ゲノム縮小型株MGB874に関しては基礎的データが非常に少ないことから、更なる基礎データの取得が必要であると考えている。そこで、転写制御機構の基礎データ取得の研究計画を新たに検討している。

次年度の研究費の使用計画

当初予定していた国内での研究打ち合わせをメール・電話などの手段によって行ったため、未使用額が生じた。
次年度は、代謝物プロファイル取得のための培地、プラスチック類、試薬等の消耗品に使用する予定である。備品購入は予定していない。また、学会での成果発表のための国内旅費を予定している。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Improved production of secreted heterologous enzyme in Bacillus subtilis strain MGB874 via modification of glutamate metabolism and growth conditions.2013

    • 著者名/発表者名
      Manabe K, Kageyama Y, Morimoto T, Shimizu E, Takahashi H, Kanaya S, Ara K, Ozaki K, Ogasawara N.
    • 雑誌名

      Microbial Cell Factories.

      巻: 12 ページ: 18

    • DOI

      10.1186/1475-2859-12-18

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Functions of the Hha and YdgT Proteins in Transcriptional Silencing by the Nucleoid Proteins, H-NS and StpA, in Escherichia coli.2013

    • 著者名/発表者名
      Ueda T, Takahashi H, Uyar E, Ishikawa S, Ogasawara N, Oshima T.
    • 雑誌名

      DNA Research.

      巻: March 29 ページ: online

    • DOI

      10.1093/dnares/dst008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 数理モデルに触れてみよう2013

    • 著者名/発表者名
      高橋弘喜
    • 雑誌名

      生物工学会誌

      巻: Vol. 91 ページ: 109

  • [雑誌論文] Prediction of operon-like gene clusters in the Arabidopsis thaliana genome based on co-expression analysis of neighboring genes.2012

    • 著者名/発表者名
      Wada M, Takahashi H, Altaf-Ul-Amin M, Nakamura K, Hirai MY, Ohta D, Kanaya S.
    • 雑誌名

      Gene

      巻: Jul 15;503(1) ページ: 56-64

    • DOI

      10.1016/j.gene.2012.04.043

    • 査読あり
  • [学会発表] 大腸菌Hha,YdgTタンパク質による外来性遺伝子の転写抑制2013

    • 著者名/発表者名
      上田剛士,高橋弘喜,石川周,小笠原直毅,大島拓
    • 学会等名
      第7回日本ゲノム微生物学会
    • 発表場所
      長浜
    • 年月日
      20130308-20130310
  • [学会発表] 大腸菌における亜鉛制御機構の数理モデルによる理解を目指して2012

    • 著者名/発表者名
      高橋弘喜, 大島拓, Selina R. Clayton, Jon L. Hobman, 戸邉 亨, 金谷重彦, 小笠原直毅, Dov J. Stekel
    • 学会等名
      第6回細菌学若手コロッセウム
    • 発表場所
      八王子
    • 年月日
      20120808-20120810
  • [学会発表] The role of zinc uptake regulator, Zur, in pathogenic and non-pathogenic Escherichia coli.2012

    • 著者名/発表者名
      Clayton, S.R., Patel, M.D., Constantinidou, C., Oshima, T., Takahashi, H., Heurlier, K., Stekel, D.J., Hobman, J.L.
    • 学会等名
      Biometals 2012
    • 発表場所
      Brussels, ベルギー
    • 年月日
      20120715-20120719
  • [学会発表] MATHEMATICAL MODELLING TOWARDS UNDERSTANDING ZINC HOMEOSTASIS IN ESCHERICHIA COLI2012

    • 著者名/発表者名
      Takahashi H, Oshima T, Clayton SR, Hobman JL, Tobe T, Kanaya S, Ogasawara N, Stekel DJ.
    • 学会等名
      Biometals 2012
    • 発表場所
      Brussels, ベルギー
    • 年月日
      20120715-20120719
  • [備考] 論文発表

    • URL

      http://ht02.pf.chiba-u.jp/?p=332

  • [備考] 論文発表

    • URL

      http://ht02.pf.chiba-u.jp/?p=284

  • [備考] 生物工学会誌に掲載されました

    • URL

      http://ht02.pf.chiba-u.jp/?p=264

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公開日: 2014-07-24  

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