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2013 年度 実施状況報告書

ビフィズス菌における含硫化合物生合成コンポーネントの探索と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 24780075
研究機関高知大学

研究代表者

加藤 伸一郎  高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (60346707)

キーワード含硫化合物 / システイン
研究概要

生体内において含硫化合物はチアミン、ビオチン、リポ酸、鉄-硫黄クラスター、モリブドプテリンなどのように補因子として高い生理活性を有している。また、核酸塩基にも微量ながら存在が認められており、紫外線のセンサー分子としての役割を有する。含硫化合物の生合成に関わるタンパク質を同定し、反応機構を解明することができれば、含硫生理活性物質の効率的な生産システムを構築することが可能になると期待される。
これまでの研究により、含硫化合物の硫黄原子がL-システインに由来しており、L-システインをL-アラニンに分解するシステインデスルフラーゼ(CDS)が含硫化合物生合成システムの初発段階を担っていることが明らかになっている。そこで、ビフィズス菌CDSであるBad0713に対して活性化をもたらすタンパク質を探索したところ、Bad0711およびBad0714がそれぞれ同定された。これらのタンパク質がどのようなメカニズムでCDSの活性化をもたらすのか、(1)タンパク質間相互作用の有無、(2)CDSのシステインデスルフラーゼ活性の速度論的解析、(3)硫黄原子の受け渡しの有無、の観点から解析を進めている。また、それぞれの解析において、還元剤(DTT、TCEP)存在条件下での結果と比較をすることで、各過程におけるペルスルフィド(-S-SH)の関与を明らかにした。これらの結果からビフィズス菌Bifidobacterium adolescentisにおいても、CDSとアクセサリタンパク質が協調的に機能することにより、種々の含硫化合物の生合成に必要とされる硫黄を効率的に供給している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに含硫化合物の生合成メカニズム、とりわけ硫黄原子のメタボリズムについて鍵酵素であるCDSを中心にして生化学的・分子生物学的な手法を用いて解析を行ってきた。その結果、システインデスルフラーゼ活性を有意に上昇させる効果を持つタンパク質群を見出すことができた。これらのタンパク質がどのようにCDSに作用しているか明らかにするため、タンパク質間相互作用の有無の確認やカイネティクス解析を通じた酵素化学的解析を行い、一定の成果を得ることができた。また、還元剤非存在条件下でSDS-PAGEを行い、オートラジオグラフィーにて各タンパク質の35S標識の様子を調べたところ、CDSの活性上昇は酵素活性中心に形成されたペルスルフィドの除去によりもたらされる可能性が極めて高いことが明らかになった。この35S標識に直接的に関与するアミノ酸残基の同定については、リジルエンドペプチダーゼによる部分消化後のペプチドの放射活性あるいは質量分析によって可能であり、現在解析を進めている。成果の研究発表については、当初の予定よりやや遅れている感が否めないが、早急に取りまとめて公開していきたい。

今後の研究の推進方策

含硫化合物生合成システムの全体像や詳細な作用機序のさらなる理解には、特定のアミノ酸残基を改変した変異型タンパク質の特性解析や、遺伝子破壊株の活用などの解析が欠かせないと考えている。これらを用いてタンパク質間相互作用やシステインデスルフラーゼの活性化について、野生型タンパク質との違いがあるかどうか検証する。これまで実施してきたオートラジオグラフィーの実験については、硫黄原子の受け渡しに必要とされる因子(ヌクレオチドや金属など)の再検討を行い、生理条件下で生じている現象の正確な理解に努める。また、これまでに同定されたタンパク質(Bad0711、Bad0714)については、免疫沈降やアフィニティーカラムを用いたプルダウンアッセイを実施し、特異的に相互作用するタンパク質の検出・同定を試みる。この実験を通じて得られると期待される知見から、ビフィズス菌における含硫化合物の生合成系のネットワークが明らかになるものと期待される。

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公開日: 2015-05-28  

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