(1) No. 201-F6株の全ゲノム解析― 初年度に引き続き、No. 201-F6株の全ゲノム解析を進めた。初年度よりさらに約1500個の遺伝子を追加し、5529の遺伝子からなるドラフトゲノムを作製した。 (2) PET加水分解酵素の機能解析― 初年度に同定したPET加水分解酵素の詳細な機能解析を進めた。本組み換え型酵素はPETフィルムより、主な分解産物としてMono(2-Hydroxyethyl) Terephtalic Acid (MHET)を、マイナーな分解産物としてテレフタル酸を生成することが判明した。さらに、本酵素は既知のPET分解性クチナーゼと比べ、高PET特異性であることがわかった。 (3) PET代謝酵素群の同定― 本菌をPETフィルムを唯一の炭素源として生育させた時に誘導される遺伝子をトランスクリプトーム解析により探索した。その結果、PET加水分解酵素遺伝子が、本条件下で大幅に誘導されることが分かった。また、本遺伝子と類似の発現パターンを示した遺伝子の組み換え型タンパク質が、MHET加水分解活性を有することを明らかにした。本酵素はMHETに対する基質特異性が極めて高かった。 これらの結果より、これまで自然界で分解されないと考えられてきたPETが微生物による2段階の酵素反応を受け、比較的多くの微生物が利用できるテレフタル酸、エチレングリコールまで代謝されうることが明らかとなった。現在、本成果について論文作成中である。
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