研究概要 |
Bacillus circulans KA-304のα-1,3-グルカナーゼ(Agl-KA)はマルチドメイン構造を有しており、DS1 domain、CBM6 domain、TPリピート配列、DS2 domain、機能未知domain(UCD)と、触媒ドメインから構成されている。 25年度は、新規のα-1,3-グルカン結合domainであるDS1、CBM6とDS2の基質結合に関わるアミノ酸残基の解析と、C末端に位置するGlycoside hydrolases family 87型(GH87)の触媒ドメインの触媒必須アミノ酸の解析を行った。 DS1、CBM6とDS2に関しては、他の多糖結合タンパク質の結合必須アミノ酸として報告されているトリプトファン、チロシン、フェニルアラニンをアラニンに置換した変異酵素を作製し、基質結合能を評価した。その結果、各ドメイン中に、基質結合に関わるトリプトファンが存在することを見出した。 Agl-KAの触媒ドメインに関しては、触媒残基と思われる3つのアスパラギン酸をグルタミン酸に置換した。結果として、α-1,3-グルカンを加水分解した際に遊離するオリゴ糖の鎖長が変化した。触媒ドメインに関しては、立体構造を明らかにするために、大量調製を行い結晶条件の検討を行っている。 25年度では上記検討以外にも、Agl-KAの触媒ドメインと相同性が極めて低いPaenibacillus glycanilyticus FH11株のα-1,3-グルカナーゼ(Agl-FH1)の基質特異性や細胞壁溶解活性などの諸性質を調べた。その結果、Agl-FH1はAgl-KAと同様の細胞壁溶解活性を示すこと、基質特異性も類似することがわかった。Agl-FH1とAgl-KAのアミノ酸配列から保存領域を特定し、触媒機構の解明に向けた変異導入を行っている。
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