研究課題/領域番号 |
24780092
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
日高 將文 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00584848)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | タンパク質工学 |
研究概要 |
本研究は、リン酸化タンパク質の構造変化と機能変化を可視化するシステムの開発を目的としている。リン酸化タンパク質の構造変化を検出する方法として、リン酸化タンパク質に結合することで構造が変化するプロリン異性化酵素・Pin1を用い、その構造変化を可視化するセンサータンパク質の開発を目指している。 平成24年度は当初の研究計画に従い、センサータンパク質の開発に取り組んだ。構造変化検出には、Pin1に2種類の蛍光タンパク質を導入し、構造変化によって変化する蛍光タンパク質間の距離を特定波長の蛍光強度変化としてとらえるFRET(Fluorescence resonance energy transfer)を利用した。Pin1のN末端側に黄色蛍光タンパク質(YFP)、C末端側にシアン蛍光タンパク質(CFP)を付加した人工タンパク質を作成し、リン酸化ペプチド、非リン酸化ペプチド存在下における蛍光強度を測定したところ、リン酸化ペプチド存在下でのみ有意なFRET強度の変化が認められた。また、センサータンパク質のPin1部分に、リン酸化タンパク質との結合能を下げる部位特異的変異を導入したところ、リン酸化ペプチドによるFRET変化が見られなくなった。これらの結果は、センサータンパク質がリン酸化ペプチド特異的に結合し構造変化していることを示しており、Pin1の構造変化を利用したリン酸化タンパク質の検出が可能であることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、センサータンパク質の開発を達成することが目標となっていた。平成24年度に作成したセンサータンパク質が、リン酸化タンパク質の検出に利用できることを示したことで、初期の目標は達成できたと考えている。一方で、センサータンパク質を実用的に利用するためには、感度、特異性など検討すべき項目が残っている。
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今後の研究の推進方策 |
センサータンパク質を利用したリン酸化タンパク質の構造変化の検出のためには、クリアしなければならない課題が多く残されている。特に、センサータンパク質によるリン酸化タンパク質の検出濃度、特異性、感度は実用化できるレベルではないため、タンパク質光沢的手法を用いたセンサータンパク質の改変を試みる。 また、センサータンパク質とリン酸化ペプチドの複合体の結晶構造解析を試みることで、センサータンパク質とペプチドの特異的な結合を明らかにすることができれば、タンパク質の開発に大きく寄与することが期待されることから、センサータンパク質をX線結晶構造解析に供する。
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次年度の研究費の使用計画 |
タンパク質工学的手法を用いたセンサータンパク質の改変に用いる。また、センサータンパク質の効果を調べるためには、様々な種類のリン酸化タンパク質、リン酸化ペプチドが多量に必要となることから、化学合成することで取りそろえる。 センサータンパク質はX線結晶構造解析に供するため、そのために必要な試薬、器具をそろえる。合成したペプチドは、センサータンパク質との共結晶化に用いる。
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