研究課題/領域番号 |
24780092
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
日高 將文 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00584848)
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キーワード | タンパク質工学 |
研究概要 |
本研究は、リン酸化タンパク質の構造変化と機能変化を可視化するシステムの開発を目的としている。リン酸化タンパク質の構造変化を検出する方法として、リン酸化タンパク質に結合することで構造が変化するプロリン異性化酵素・Pin1を用い、その構造変化を可視化するセンサータンパク質の開発を目指している。 平成24年度の段階で、リン酸化ペプチド特異的に結合し、構造変化していることを示すセンサータンパク質が得られており、Pin1の構造変化を利用したリン酸化タンパク質の検出が可能であることを示す結果が得られていた。平成25年度は当初の研究計画の通り、前年度に引き続きセンサータンパク質の開発・改良に取り組んだ。本研究の最終目標である、細胞内リン酸化タンパク質のリアルタイム測定のためには、高感度かつ高精度で、特異性の高いセンサータンパク質が必要となるため、本年度は特に、センサータンパク質の高感度化、高精度化を目指した改良に主眼を置き、蛍光タンパク質の種類、Pin1と蛍光タンパク質の結合部分の配列の検討などを行った。しかしながら、リン酸化ペプチドを用いた実験では、結合によるシグナル変化が微弱で、細胞内のリン酸化タンパク質の濃度変化を検出することは難しいと判断した。 センサータンパク質開発について詳しい京都大学・今村博臣准教授に相談したところ、タンパク質発現系などについて改良点を助言いただき、再度タンパク質開発に取り組んだところ、リン酸化ペプチドによって大きくシグナルが変化するセンサータンパク質の獲得に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
センサータンパク質の開発・改良に当初の想定以上に時間を要し、本研究の目的であったセンサータンパク質を用いた測定にまで達することができなかった。事業期間の終盤になって、実用的に使用することができる改良型センサータンパク質の獲得に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定よりセンサータンパク質の開発に時間を要したため、本来の目的であるリン酸化タンパク質の構造変化の可視化を行う時間が不足している。そのため、事業期間を一年間延長し、センサータンパク質を用いたリン酸化タンパク質の変化の測定を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では、研究の初期段階でセンサータンパク質を開発し、合成ペプチドを用いた実験を実施する予定であった。しかし、センサータンパク質の開発が当初の想定以上に時間を要し、事業期間の終盤になってペプチドを用いた実験に進める段階となった。本研究で用いるペプチドはリン酸化修飾された特殊なモノであり、長期保存ができない。そのため、事業期間を延長しペプチドを用事調製可能な体制を整え、試験を継続したい。 研究の実施には、多種のペプチドについてグラムスケールの量を必要とする。ペプチドはリン酸化修飾を伴うため、一般的なペプチドに比べ合成が難しく高価であり、合成価格は1種類あたり約30万円である。助成金の使用はペプチド合成を6回(30万円×5回、計150万円)、および実験の実施に必要な生化学試薬の購入(20万円)として計画している。
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