本研究は、リン酸化タンパク質の構造変化と機能変化を可視化するシステムの開発を目的としている。リン酸化タンパク質の構造変化を検出する方法として、リン酸化タンパク質に結合することで構造が変化するプロリン異性化酵素・Pin1を用い、その構造変化を可視化するセンサータンパク質の開発を目指している。本研究は平成24~25年度の研究課題であったが、平成25年度の終盤になって実用化の見込みのあるセンサータンパク質の獲得に至ったため、研究期間を延長し、平成26年度も研究を継続した。 獲得したセンサータンパク質は、リン酸化ペプチドを添加することで蛍光強度が変化した。様々な変異体、ペプチドを用いた解析から、センサータンパク質の蛍光強度変化の特異性を解析した。その結果、蛍光強度は特定の配列を有するリン酸化ペプチドの添加時にのみ特異的に変化することが示唆された。 本センサータンパク質は、プローブに用いたPin1の機能解析に用いることも視野に入れている。そこで、Pin1の活性を制御する低分子化合物の探索による薬剤スクリーニング系への応用を検討した。センサータンパク質に対し、既知のPin1阻害剤を添加すると、阻害強度の強いものはより大きく蛍光強度が変化した。このことから、Pin1の構造変化と活性阻害の関連性が示唆された。阻害強度と蛍光強度変化については、より多くのPin1阻害剤のデータを収集し、相関を解明する必要があると考えている。
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