研究実績の概要 |
【平成26年度研究成果】スエヒロタケβ-グルカンの主鎖合成に関与すると思われるβ-1,3-グルカンシンターゼ(BGS)の推定触媒ドメインを大腸菌で発現し、活性測定を行った。アイソトープを利用して活性測定を行ったところ、2種類のBGS(BGS1とBGS2)の推定触媒ドメインはいずれもUDPグルコースをドナー基質とした糖転移活性を示した。2価陽イオンが酵素の活性化に関与している可能性が示唆された。 スエヒロタケ菌糸体の細胞壁消化画分にラミナリオリゴ糖を基質とした分岐活性が観察された。部分精製したタンパク質の一次構造を解析した結果、GH16ファミリーに属する酵素や機能未知タンパク質が当該酵素の候補として考えられた。一方、細菌のβ-グルカン分岐酵素と相同性を示すスエヒロタケ由来タンパク質の触媒ドメインには明瞭な分岐活性が認められなかった。 β-1,3-グルカンホスホリラーゼによるβ-1,3-グルカンの合成系にβ-グルカン分岐酵素を加えて反応を行った。その結果、β-1,3-グルコシド結合とβ-1,6-グルコシド結合を有する分岐型の水溶性多糖が生成された。 【研究期間全体の研究成果】スエヒロタケBGSの推定触媒ドメインが単独で酵素活性を示すことを明らかにした。スエヒロタケβ-グルカン分岐形成酵素の部分精製を行い、性質と構造を解析した。β-グルカン分岐酵素とβ-1,3-グルカンホスホリラーゼの同時反応を行い、分岐β-グルカンを試験管内で合成した。細菌β-1,3-グルカンホスホリラーゼとラミナリデキストリンホスホリラーゼを新たに発見し、これらの酵素を用いたβ-1,3-グルカンやラミナリオリゴ糖の試験管内合成系を確立した。
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