研究2年度目には解析の対象をヒトABCG1からABCG4へと拡大し、基質特異性を明らかにする研究を行った。本年度の研究成果は国際学会で発表し高い評価を得た。 ABCタンパク質はATP依存的な能動輸送を行う輸送体で、生理的に重要なさまざまな反応を仲介する。近年ABCタンパク質による脂質恒常性の維持が関心を集めており、中でもHDL形成における中心的役割が脚光を浴びている。研究初年度にはこのHDL形成にかかわるABCG1がコレステロールとリン脂質を選択的に輸送することを明らかにしたが、研究2年度目においてはABCG1ときわめて類似性の高いABCG4について解析を行った。この結果、ABCG4はABCG1とは異なり、コレステロールを選択的に輸送するトランスポーターであることが明らかとなった。 本研究はABCG4が活性なトランスポーターであることを世界に先駆けて明らかにしたものであり、基質特異性にも踏み込んだ議論をしていることから国際学会にて発表を行い、高い評価を得た。
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