研究課題/領域番号 |
24780110
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森 直紀 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (60463882)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ペルオキシド / 抗マラリア活性 |
研究概要 |
ペルオキシド構造を有する化合物群は抗マラリア剤、抗がん剤などの新たな医薬の候補として大きな期待を集めている。申請者はその中で2009年にScleria striatinuxの根から単離・構造決定された抗マラリア活性を有するokundoperoxideの合理的合成法の開発を目的として研究を開始した。 Okundoperoxideは左右ユニットに分けて合成することとした。左側ユニットはα-イオノンを出発物質とし、シリルエノールエーテルへと変換後、オゾン分解、水素化ホウ素ナトリウム還元、TBS保護により2炭素減炭した化合物を得た。続いて内部オレフィンに対して水ホウ素化反応とDess-Martin酸化を行うことでケトンを得た。このケトンをShapiro反応に付すことで二重結合の異性化を行った。得られたオレフィンのアリル酸化はジオキサン中二酸化セレンを用いることで達成することができた。生じた水酸基をPMB基で保護し、TBSオキシ基を3工程でPTスルホンへと変換し、左側ユニットの合成を完了した。 右側ユニットはD-マンニトールを原料とし、アセトニド保護の後、グリコール開裂とメチル基の導入、TPAP酸化によって調製した。 このようにして得られた左右ユニットに対してLHMDSを用いてJuliaカップリングを行ったところ、E/Z比9:1で付加体を得ることができた。これによりokundoperoxideの全炭素骨格を揃えることができた。今後は鍵反応である一重項酸素との[4+2]環化付加反応の検討を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ペルオキシド構造を有する天然有機化合物は数多く存在するものの、その合成法は確立されているとは言えない。本研究において、申請者はペルオキシド構造の合理的合成法の確立を目的とし、okundoperoxideの合成研究に取り組んでいる。申請者が考案した一重項酸素とジエンの[4+2]環化付加反応と続くアリルエポキシドの開環を鍵反応とするペルオキシドの構築法は新規かつ挑戦的なものであり、その前駆体となる化合物の合成まで完了したことは十分意義がある結果と考える。
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今後の研究の推進方策 |
Okundoperoxideの全炭素骨格の構築に成功したので、今後は光学活性な左側ユニットを用いて鍵反応である一重項酸素とジエンの[4+2]環化付加反応と続くアリルエポキシドの開環の検討を行っていく予定である。その方法としてはゲラニルアセテートを原料とし、シャープレスの不斉ジヒドロキシ化を用いて不斉を導入することとする。この左側ユニットを用いて光学活性体合成を達成し、未だ未決定であるokundoperoxideの絶対立体配置の決定も行いたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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