研究課題
前年度(平成24年度)の研究においてモデルタンパク質として用いたニホンニワトコレクチン(SSA)に対して高親和性を有し架橋複合体形成を形成可能な四価配糖体の開発に成功している。平成25年度は、他の植物レクチンおよびウイルスに対して同様の活性を有する新規多価性糖鎖リガンドの開発を行った。1)N-アセチルラクトサミン認識レクチン(ECA)に対する多価性糖鎖リガンドの機能設計始めに、N-アセチルラクトサミン(LacNAc)含有四価配糖体((LacNAc)4-DBGs)を合成した。具体的には、アルキル鎖長の異なるジカルボン酸(HOOC-(CH2)n-COOH;n=1, 4, 10, 16)を骨格部に用いることで4種類の(LacNAc)4-DBGsを合成した。続いて、 (LacNAc)4-DBGsとレクチンとの各種相互作用解析を行った。定量沈降試験では、全ての(LacNAc)4-DBGsにおいて架橋複合体の形成が確認された。また、結合親和性は等温滴定カロリメトリーにより評価した。その結果、(LacNAc)4-DBG-C18 が最も強い結合親和性(Kd = 2.4 μM)を示した。具体的には、エンタルピーの値が他の化合物より低いものの、エントロピー損失が最も低いという特徴を有していた。また、化学量論比より (LacNAc)4-DBGsとECAとの結合比は全て1対2であることも明らかとなった。結果として、(LacNAc)4-DBGsの骨格部改変により、ECAとの結合様式を変化させることなくエントロピー損失を軽減し結合親和性を向上させることに成功した。2)ポリオーマウイルス(MCV)に対する多価性糖鎖リガンドの開発MCVに対しての結合能が期待される、シアロ糖鎖含有四価糖鎖クラスターとMCVとの架橋複合体形成実験を動的光散乱法により評価した。その結果、ある濃度条件下においてMCVとシアロ糖鎖含有四価糖鎖クラスターは巨大なウイルス‐糖鎖架橋複合体を形成することを明らかにした。
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