研究課題
本年度は昨年度明らかになったOolongtheanin類の反応機構を元に、EGCg及びEGCの組み合わせによる4種類のOolongtheanin類の効率的合成法の開発を行った。EGCgのみあるいはEGCのみからなるOolongtheanin類については、様々な改良の結果40%の収率で得られた。特に、Catechinの3位にガレート基を持たないEGCでは、当初収率が低く副生成物が見られた。検討の結果、副生成物の構造決定には至っていないが目的のDesgaloyloolongtheaninとの平衡混合物であることが明らかとなり、溶媒条件の検討の結果、EGCgの場合と同様に40%の収率で得られることが明らかとなった。一方、EGCgとEGCから生成する2種のヘテロ型のOolongtheanin類については、反応性の差を利用することで片方を優先的に合成できることが明らかとなった。詳細な検討の結果、この反応性の差は、反応1段階目の酸化反応に起因しており、EGCの方がEGCgよりもわずかに酸化されやすいことがわかった。また、もう一方のヘテロ型Oolongtheaninについては、EGCgのみからなるOolongtheaningallateを加水分解酵素タンナーゼで処理することのより選択的に脱ガレート反応が進行することが明らかとなり、この反応を利用することで効率的に得られることがわかった。得られたOolongtheanin類とEGCg及びEGCについては、ウーロン茶の機能性として知られるコレステロール吸収抑制作用についてコレステロールミセル溶解性試験により評価した。その結果、EGCgの2量体であるOolongtheaningallateに高コレステロール血症薬として知られるコレスチラミンに匹敵する非常に強い阻害活性が見られた。また、コレステロールのミセルへの溶解性の抑制にはEGCgのガレート基の存在が重要であると報告されているが、EGCの2量体であるDesgaloyloolongtheaninにも、比較的強い活性が見られることが明らかとなった。
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