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2012 年度 実施状況報告書

食用油のゲル化に関する新技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24780134
研究種目

若手研究(B)

研究機関日本大学

研究代表者

橋崎 要  日本大学, 薬学部, 助教 (60318459)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードレシチンオルガノゲル / 逆紐状ミセル / 食用油 / 植物油 / トリグリセリド / レオロジー
研究概要

各種レシチンオルガノゲル化剤を用いて、食用油のゲル化スクリーニングを行った。レシチンオルガノゲル化剤としては、レシチンに各種極性物質を組み合わせたものを用いた。具体的には、当研究室で見出された、①レシチン+ポリグリセリン、②レシチン+D-リボース、③レシチン+クエン酸、④レシチン+1,2,3-プロパントリカルボン酸、また比較のため典型的なレシチンオルガノゲル化剤である⑤レシチン+水、の計5種類の組み合わせを用いた。また食用油には、中鎖飽和脂肪酸を有する3種類のトリアシルグリセロールを用いた。その結果、③レシチン+クエン酸および④レシチン+1,2,3-プロパントリカルボン酸の組み合わせで、食用油をゲル化できることが明らかとなった。ちなみに、②レシチン+D-リボースおよび⑤レシチン+水の組み合わせでは、食用油の増粘が確認されたが、①レシチン+ポリグリセリンの組み合わせでは、食用油の増粘・ゲル化は認められなかった。一般に、レシチン単独ではオイル中で球状の逆ミセルを形成するため、オイルの増粘・ゲル化は起こらない。しかし、このオイル溶液に少量の極性物質を添加すると、レシチンの親水基に極性物質が水素結合し、分子集合体の界面曲率の減少に伴い球状から紐状への構造転移が起こる。この逆紐状ミセルがオイル中で互いに絡まり合い三次元ネットワークを形成すると、オイルは増粘またはゲル化する。このことから、極性物質に、クエン酸や1,2,3-プロパントリカルボン酸を用いた場合、絡まり合いに十分な長さの逆紐状ミセルが形成されたと考えられる。一方、極性物質に、水やポリグリセリン、D-リボースを用いた場合には、逆紐状ミセルの形成が不十分であったと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

幾つかのレシチンオルガノゲル化剤を用いて、中鎖飽和脂肪酸を有するトリアシルグリセロールをゲル化できたことは新たな発見であった。現在、不飽和脂肪酸を有するトリアシルグリセロールのゲル化についても検討中である。また、レシチン/各種極性物質/中鎖脂肪酸トリグリセリドの3成分系状態図の作成にも着手した。現時点では、当初掲げた目標を概ね達成できているものと考えられる。

今後の研究の推進方策

本研究課題は、液状の食用油をゲル化するための新技術を開発することを目的としているため、最終的には大豆油や菜種油などの植物油をゲル化する必要がある。そのためには、植物油の主成分である不飽和脂肪酸を含むトリアシルグリセロールのゲル化メカニズムを明らかにすることは重要である。今後は、引き続き不飽和脂肪酸を有するトリアシルグリセロールのゲル化スクリーニングを行いながら、新規なレシチンオルガノゲル化剤の探索を行う。

次年度の研究費の使用計画

【物品費】ゲル化剤や食用油などの試薬が250,000円、レオメーターなどの分析機器の消耗品として300,000円、論文別刷代として50,000円を使用する予定である。
【旅費】American Chemical SocietyのACS National Meetings & Expositionに参加して成果を発表するため、外国旅費として400,000円を使用する予定である。
【人件費・謝金】国際誌に論文を投稿するので、英語論文の校閲として50,000円を使用する予定である。
【その他】論文投稿料として、50,000円を使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] カルボン酸を用いた新規レシチンオルガノゲルのレオロジー挙動

    • 著者名/発表者名
      今井美湖、橋崎要、田口博之、齋藤好廣、本橋重康
    • 学会等名
      第60回レオロジー討論会
    • 発表場所
      名古屋大学
  • [学会発表] レシチンとカルボン酸からなる新規オイルゲル化剤

    • 著者名/発表者名
      今井美湖、橋崎要、田口博之、齋藤好廣、本橋重康
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
  • [備考] 科学研究費補助金ケーススタディ18

    • URL

      http://www.pha.nihon-u.ac.jp/page.jsp?id=1955

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公開日: 2014-07-24  

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