研究課題/領域番号 |
24780136
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 八戸工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山本 歩 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (60523800)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | DNA損傷 / 染色体異常 / 突然変異 / ゲノムディフェンダー / 抗変異原 |
研究概要 |
本研究は出芽酵母とヒト培養細胞を用いてゲノムディフェンダー(ゲノム情報防御物質)として機能する新規食品を開発することを目的とし、そのための新規食品の探索ならびにその防御機構の解明を行うものである。従って、本研究はゲノム情報を防御することでヘルスケアを行う仕組み(ゲノムディフェンスヘルスケア)を構築するための基盤として位置づけられるものである。 平成24年度は「出芽酵母LOH検出系を用いた新規ゲノムディフェンダーの探索」と「I-SceI認識配列を導入した新規ヒト培養細胞株の作製」を実施する計画で進めてきた。その結果、特に青森県産カシスのゲノムディフェンダーとしての可能性に関して大きな成果を得ている。これまでに申請者は出芽酵母を用いた実験により青森県産カシスが過酸化水素(酸化損傷誘発物質)やアルキル化剤(アルキル化損傷誘発物質)、紫外線(ピリミジンダイマー損傷誘発因子)などにより誘発される突然変異を抑制することを明らかにしていたが、平成24年度はヒトリンパ芽球由来培養細胞を用いた実験を実施し完熟ならびに未完熟の果実から抽出したカシスエキスが過酸化水素によるDNA損傷や染色体異常を抑制することを明らかにした。また、カシスがジャムとして加熱調理され食されることを想定した実験を実施したところ、この抑制効果が加熱後果実から抽出したエキスでも維持されていることを明らかにした。また、出芽酵母実験系を用いセンキュウ葉抽出エキスや菊花抽出エキスが新規ゲノムディフェンダーとしての可能性があることを明らかにしている。また、I-SceI認識配列導入ヒト細胞株の作製に関しては現在、候補となる細胞を単離しており今後遺伝子配列解析により目的のものが得られているか明らかにしていくところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究の進捗状況は当初計画と比較し、おおむね順調に進展しているものと考えられる。その理由として、 ①出芽酵母LOH系を用いた実験によりセンキュウ葉抽出物と菊花抽出物が新規ゲノムディフェンダーとしての可能性を有していることを明らかにした。 ②青森県産カシスを用いた研究では平成25年度に実施予定のヒト培養細胞を用いた実験に既に取り組んでおり、過酸化水素によるDNA酸化損傷に対して抑制効果を示しており、その効果は完熟・未完熟および加熱・非加熱それぞれの果実から抽出したエキスで確認されることを明らかにした。 ③I-SceI認識配列導入新規細胞株の作製においては候補となる細胞株の単離を実施しており、今後、DNAを抽出し目的領域の遺伝子配列を確認する予定である。 という進捗状況であり、当初予定していた出芽酵母を用いた実験系以外にヒト培養細胞を用いた実験にも既に取り組んでいることが挙げられる。そのため、「おおむね順調に進展している」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の平成25年度の研究計画では「平成24年度の実施計画を継続し、ゲノムディフェンダー食品の開発を行う」ならびに「ヒト培養細胞株におけるゲノム防御活性の評価ならびに防御機構の解明」を実施することとしていた。しかしながら、平成24年度内に実施した青森県産カシスのゲノムディフェンダー活性に関する実験では出芽酵母だけでなくヒト培養細胞を用いた実験を既に実施しており興味深い結果が得られている状況であることから(本成果に関しては現在、「Protective effects of raw and cooked blackcurrant extract on DNA damage induced by hydrogen peroxide in human lymphoblastoid cells」として投稿中である)、青森県産カシスに関しては平成26年度に実施予定である「放射線障害に対するゲノムディフェンダーによる防護の検討」を前倒しで実施していきたいと考えている。また、センキュウ葉抽出物や菊花抽出物のヒト細胞での効果の検証など、カシス以外の実験に関しては当初の計画通り進めていく予定である。また、平成25年度はホタテ貝柱抽出エキスに関する活性についても調査していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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