研究課題/領域番号 |
24780140
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市立工業研究所 |
研究代表者 |
佐藤 博文 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, その他部局等, 研究員 (70443546)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | モノクロロプロパンジオール / グリシドール / 油脂 / リスク懸念物質 / エステル |
研究概要 |
本研究は2-MCPDを含む油脂リスク物質の標品を合成し、その同時定量を行うことを目的としている。平成24年度では2-MCPDの合成法を確立し、2-MCPD、3-MCPD、およびグリシドールのエステル化標品を合成することを計画していた。 2-MCPDの合成について、従来まったく合成できていなかったが、本研究では3ステップで効率よく合成する手法を開発した。特に最終ステップでは研究費で購入した高圧反応装置を用いることにより、2-MCPDジベンジルエーテルから高温高圧条件でパラジウム触媒と水素を作用させることにより2-MCPDが生成することを見出した。この手法によりこれまで合成されていなかったリスク懸念物質である2-MCPDのグラムオーダーでの合成を達成した。 2-MCPD、3-MCPD、グリシドールのエステル体標品合成について、2-MCPDおよび3-MCPDのエステル体の合成は塩基性溶媒中酸クロリドとの反応で合成することができるが、グリシドールを原料に合成を行うと予期しない3-MCPDエステルが一部得られることがわかった。そのため、縮合剤としてEDCを用いた反応により合成実験を行ったところ、良好な収率でグリシジルエステルを得ることができた。また、酸無水物との反応でもそれぞれのエステル体を合成可能であることがわかった。この手法により、単純な前処理で2-MCPD、3-MCPD、およびグリシドールのエステル化処理を達成することができた。 これらの研究成果を学会等で発表し、論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は2-MCPDを含む油脂リスク物質の標品を合成し、その同時定量を行うことを目的としている。平成24年度では2-MCPDの合成法を確立し、2-MCPD、3-MCPD、およびグリシドールのエステル化標品を合成することを計画していた。研究実績の概要にも示したように、平成24年度の前半で2-MCPDの合成法を確立し、後半で2-MCPD、3-MCPD、およびグリシドールのエステル体の標品を合成することができた。 よって、当初予定していた目標は完全に達成されており、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成25年度では、合成した標品のクロマトグラフィーによる分離の確認と、実際の油脂中からの抽出、エステル化、検出の一連の分析法の確立を目指す。 本研究では比較的分子量の低いエステル体に誘導していることから、ガスクロマトグラフィーとFID検出器による定量を行う予定である。 また、実際の油脂からの2-MCPD、3-MCPD、およびグリシドールの抽出はエクストリルート珪藻土カラムによる固相抽出を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
抽出やエステル化に用いる試薬、溶剤、消耗品を購入する予定である。また、クロマトグラフィーに関連する消耗品を購入する予定である。研究で得られた成果を学会発表するための旅費や論文投稿するための投稿費等に研究費を使用する予定である。 その他の研究必需品にも研究費を使用する予定である。
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