研究課題
大規模崩壊地はその形成後も,岩盤の風化や拡大崩壊により長期間土砂を生産し続け,流域の中での主要な土砂供給源であり続ける。しかしながらその実態には未解明の部分が多く残されている。そこで,静岡県北部,南アルプスに位置する大規模崩壊地,赤崩と大谷崩において,土砂生産のタイミングと土砂生産量の空間分布を,現地調査やGIS(地理情報システム)による解析によって調べた。さらには土砂生産量を説明するためのモデルを作成し,現地への適用を試みた。調査の結果,大規模崩壊地からの土砂生産は,風化等による定常的なプロセスや,崩壊地内において突発的におきる二次的な拡大崩壊など,複数のプロセスにより複合的になされていることが明らかになった。また,それらの土砂生産プロセスには,地層構造が大きく関係していることを明らかにした。土砂生産は夏季・秋季の豪雨時のみならず,冬季の寡雨期においても活発に行われていることがわかった。現地での気象観測の結果,冬季の土砂生産には岩盤中に含まれる水分の凍結融解現象が影響を及ぼしている可能性が示唆された。本研究では,風化等による定常的な土砂生産プロセスを説明する「岩盤平行後退モデル」を新たに作成し,現地観測の結果得られた土砂生産の特徴を再現することができた。また,二次的な崩壊の発生に伴う土砂生産を説明するため,既往のモデルを改良することで「多層構造を有する斜面における斜面安定モデル」を構築し,そのメカニズムの解明を行った。
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