研究課題/領域番号 |
24780144
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
吉田 智弘 東京農工大学, 農学部, 助教 (60521052)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 森林 / 土壌動物 / 国際情報交換 / オーストラリア |
研究概要 |
平成24年度は、1)2種類の野外調査、2)国際学会発表、3)2編の論文投稿、を実施した。樹上パッチ状資源における腐食者群集の構造、およびそれらに及ぼす環境因子、を解明するために、研究協力者2名とともに、コナラ林、スギ林において、樹洞を模した円筒形容器を樹幹部に設置し、2種類の野外操作実験を実施した。 ひとつ目の実験では、腐食者群集の構造に対するパッチ状資源(樹洞)の“形状”の影響を明らかにするために、同一容量で形状の異なる容器(狭く深い、広く浅い)を用いて、そこに含まれる資源量(リター量、水量)と水生生物群集を調査した。その結果、樹洞の形状はリター量と水量に正反対の影響を及ぼし、それに対して生物が分類群ごとに異なる反応を示すことで群集構造が複雑になっていることが示された。 ふたつ目の実験では、パッチ状資源の“空間サイズ”とその内部の“資源量”のどちらがより強く生物群集に影響するかを明らかにするために、人工容器のサイズおよびリター量の異なるパッチを樹幹部に設置し、それらに定着する土壌動物を調査した。これらの結果は解析中である。 また、申請者は、本研究課題の基盤となる、申請者の過去の研究成果を取りまとめ、国際学会において、2件発表した。その後、それらを2編の学術論文としてまとめ、学術誌に投稿した。これら2編の論文の内容は、樹上パッチ状資源を利用する腐食者の生活史、およびパッチ状資源への定着過程を明らかにしたものであり、本研究課題の目的において重要なものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、1)2種類の野外調査、2)国際学会発表、3)2編の論文投稿、を実施することができたため、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。 1)では、研究協力者2名が、平成23年度から研究を実施しており、手法が確立していたため、速やかに調査を開始することができ、そのデータも蓄積され、研究課題の目的のための良好な結果が得られている。研究課題で設定した5種類の調査対象(樹上パッチ状資源:①樹洞水溜まり、②樹洞リター、③樹幹分岐部リター、④コケリター、⑤着生植物リター)のうち、①と②の調査を平成24年度に実施することができており、次年度に実施する③と⑤の調査に向けての準備も着実に進んでいる。 樹上パッチ状資源に対して動物の供給源として作用する可能性のある、池・渓流の水生生物については、当該年度では調査を実施しなかったため、その部分については、次年度以降に対応する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策として、オーストラリアにおいて野外調査を実施することを予定している。研究計画調書では、平成25年度に沖縄において樹上の着生植物リターを調査する計画を立案していたが、その後、オーストラリアに調査地を有する研究者の協力が得られること可能となり、基盤となるデータの蓄積がある場所で野外調査を実施した方が、本研究課題を遂行する上で有利であると判断した。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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